精密加工品
金属の試作加工|機械部品の依頼先選びと加工方法のポイント
金属加工による機械部品の試作品製作は、製品開発において不可欠な工程です。
この記事では、金属試作の基礎知識から、目的別の加工方法、材料選定、信頼できる外注先の選び方までを網羅的に解説します。
金属の試作品を製作する上で、失敗しないための発注時のポイントも紹介するため、これから依頼を検討している担当者の方は参考にしてください。
そもそも金属試作とは?量産との違いと製作する目的
金属試作とは、製品を本格的に量産する前に、形状や機能、強度、組み立て性などを検証する目的で、金属材料を用いて試作品を製作する工程を指します。
基本的に1個から数個の少数で製作され、後の量産工程で発生しうる不具合を未然に防ぎ、開発全体の品質向上とコスト削減を図る重要な役割を担います。
目的や形状に応じて、様々な加工方法が使い分けられます。
開発コストやリスクを抑える試作の重要性
製品開発において試作は、量産段階での手戻りを防ぎ、開発コストやリスクを大幅に削減するために不可欠な工程です。
設計データ上では問題がないように見えても、実際に金属の切削加工などで形にしてみると、組み立て性の問題や想定外の干渉、強度の不足といった課題が見つかる場合があります。
もし試作を行わずに量産用の金型を製作してしまうと、不具合が発覚した際に金型の修正や再製作に多大なコストと時間がかかります。
切削などの方法で事前に試作品を作り、設計の妥当性を検証することで、こうしたリスクを回避し、製品の品質を高められます。
製作個数や目的に違いがある試作品と量産品
試作品と量産品は、製作個数と目的に大きな違いがあります。
試作品は、設計検証や機能評価を目的として、1個から数十個程度の少数で製作されるのが一般的です。
そのため、金型を必要としない切削加工や3dプリンターなどが用いられます。
一方、量産品は市場での販売を目的とし、数千から数万個、あるいはそれ以上の規模で生産されます。
生産効率とコストを重視するため、初期費用はかかりますが単価を抑えられるプレス加工や鋳造などの金型を用いた工法が選ばれることが多いです。
このように、それぞれの目的に応じて最適な生産方法が選択されます。
【目的別】金属試作で用いられる代表的な5つの加工方法
金属試作には様々な加工方法があり、製品の形状、精度、材質、製作個数といった要件によって最適な方法を選択する必要があります。
ここでは、代表的な5つの加工方法である「切削加工」「板金加工」「プレス加工」「鋳造」「金属3Dプリンター」の特徴を解説します。
例えばアルミのように加工しやすい材料から、難削材まで、それぞれの材質に適した方法を知ることが重要です。
高精度な単品製作が得意な「切削加工」
切削加工は、ドリルやエンドミルといった刃物(工具)を使って金属の塊を削り出し、目的の形状を作り出す加工方法です。
マシニングセンタやNC旋盤などの工作機械を使用し、プログラム制御によって高精度な加工を実現します。
金型が不要なため、1個からの単品製作や小ロット生産に非常に適しており、設計変更にも柔軟に対応可能です。
ステンレスやアルミ、鉄など様々な金属材料に対応できる点も大きな利点です。
ただし、複雑な形状や多数の製作には時間がかかり、コストが高くなる傾向にあります。
主に、精度が求められる部品の試作で採用される代表的な工法です。
薄い金属板を変形させる「板金加工」
板金加工は、レーザー加工機やタレットパンチプレスで金属の板を所定の形状に抜き、ベンダー(プレスブレーキ)で曲げ、必要に応じて溶接することで立体的な製品を作り出す加工方法です。
主に鉄やステンレス、アルミなどの薄い板材(通常は板厚6mm以下程度)が用いられます。
切削加工に比べて材料の無駄が少なく、比較的安価に製作できるのが特徴です。
筐体やカバー、ブラケットといった箱物形状の試作に適しており、金型を必要としないため、1個の試作から対応できます。
複雑な曲げ加工や深絞りには不向きな場合もありますが、様々な製品の外装部品などに広く活用されています。
同じ形状を多数作るのに適した「プレス加工」
プレス加工は、対になった金型の間に金属板を挟み、プレス機械で強い圧力をかけて金型の形状に成形する加工方法です。
同じ形状の製品を短時間で大量に生産できるため、量産におけるコストパフォーマンスが非常に高いのが最大の特徴です。
ただし、専用の金型を製作する必要があるため、初期費用が高額になり、製作期間も長くなります。
そのため、1個だけの試作には向きませんが、量産を前提とした製品の機能評価や、プレス成形性を見極めるための試作(試作金型)で用いられることがあります。
加工後に防錆や装飾を目的としたメッキなどの表面処理を施すことも多いです。
鋳型に金属を流し込む「鋳造」
鋳造は、作りたい製品形状の空洞を持つ鋳型に、溶かした金属を流し込み、冷やし固めて製品を作る加工方法です。
切削加工では難しい複雑な三次元形状や、中空構造を持つ部品の製作に適しています。
量産には金型を用いるダイカストなどが使われますが、初期費用が高いため試作には向きません。
試作段階では、比較的安価に製作できる砂型鋳造や石膏鋳造が選ばれることがあります。
これらの方法は、型の製作が容易で1個から対応可能ですが、寸法精度や表面の粗さは金型鋳造に劣るため、後工程で切削加工による仕上げが必要になる場合もあります。
複雑な形状をデータから作る「金属3Dプリンター」
金属3Dプリンターは、3DCADデータをもとに、金属粉末をレーザーで一層ずつ溶かして固め、積層していくことで立体物を造形する加工方法です。
切削加工では不可能な複雑な内部構造や、一体化した部品を製作できるのが最大の特徴になります。
金型や刃物が不要で、データさえあれば直接造形できるため、開発リードタイムを大幅に短縮できます。
一方で、現状では加工コストが比較的高く、造形できるサイズに制限があり、表面の精度は他の加工方法に劣る場合があります。
そのため、設計の自由度を最優先したい場合や、従来工法では実現不可能な形状の検証を行いたい試作で活用されます。
試作でよく使われる金属材料の種類とそれぞれの特徴
金属試作を行う上で、加工方法と並行して重要になるのが材料の選定です。
材料が持つ特性は、製品の強度、耐久性、重量、コスト、そして外観に直接影響を与えます。
試作品に求められる要件、例えば軽量化が必要か、耐食性が求められるか、あるいはコストを最優先するかといった目的に応じて最適な材料を選ぶことが大切です。
ここでは、試作品の製作で頻繁に使用される代表的な金属材料であるアルミニウム、ステンレス、鉄、銅・真鍮について、それぞれの特徴を解説します。
各材料のメリットとデメリットを理解し、製品の用途に合ったものを選定してください。
軽さと加工しやすさが魅力の「アルミニウム」
アルミニウムは、鉄の約3分の1という軽量さが最大の特徴です。
加工性にも優れており、切削や曲げといった様々な加工方法に対応しやすい材料です。
また、表面に酸化皮膜を形成するため耐食性が高く、錆びにくいという利点も持ち合わせています。
熱伝導性や電気伝導性も良好です。
これらの特性から、航空機や自動車の部品、電子機器の筐体やヒートシンクなど、軽量化が求められる製品の試作に幅広く使用されます。
代表的な材質には、汎用性が高く溶接にも適したA5052や、より高い強度が求められる場合に選ばれるA7075(ジュラルミン)などがあります。
錆びにくく強度が高い「ステンレス」
ステンレスは、鉄を主成分としながらクロムやニッケルを含有させることで、非常に高い耐食性を実現した合金鋼です。
「Stainless Steel」という名前の通り、錆に強いのが最大の特徴で、強度や耐熱性にも優れています。
美しい光沢を持つため、意匠性が求められる部品にも適しています。
試作でよく用いられる代表的な材質として、汎用性が高く耐食性に優れるSUS304と、硫黄を添加して被削性を高めたSUS303があります。
精度が求められる切削加工部品にはSUS303が、溶接を伴う板金部品や耐食性を重視する場合にはSUS304が選ばれることが多いです。
安価で幅広い用途に使われる「鉄」
鉄は、金属材料の中で最も流通量が多く、非常に安価に入手できるのが最大のメリットです。
強度や加工性にも優れており、様々な用途に利用されています。
ただし、錆びやすいという大きな欠点があるため、試作品が完成した後にメッキや塗装といった防錆目的の表面処理を施すのが一般的です。
試作でよく使われる鉄鋼材料には、板金加工で用いられる冷間圧延鋼板(SPCC)や、切削加工で使われる一般構造用圧延鋼材(SS400)などがあります。
コストを抑えたい場合や、高い強度が求められる構造部品の試作において、第一の選択肢となる材料です。
導電性・熱伝導性に優れた「銅・真鍮」
銅は、電気伝導性と熱伝導性が非常に高いという特徴を持つ金属です。その特性から、電極やヒートシンク、配線部品などの試作に用いられます。展延性に富み加工しやすいですが、比較的高価な材料です。
一方、真鍮は銅と亜鉛の合金で、銅の特性を持ちながら、被削性や強度、耐食性に優れています。また、黄金色の美しい光沢を持ちます。コストも純銅より安価なため、切削加工による精密部品や、コネクター、バルブ部品、装飾品などの試作で広く利用されています。真鍮は、その加工しやすさとコスト面から、多様な部品の試作において重要な選択肢となります。
失敗しない金属試作会社の選び方!比較すべき5つのチェックポイント
金属試作の品質や納期は、依頼する加工会社の技術力や対応力に大きく左右されます。
数ある会社の中から自社の開発プロジェクトに最適なパートナーを見つけるためには、いくつかの重要なポイントを比較検討することが不可欠です。
ここでは、失敗しない金属試作会社を選ぶためにチェックすべき5つの項目を紹介します。
加工実績や生産体制、対応の質などを多角的に評価し、信頼できる依頼先を選定してください。
希望する加工方法や材質での製作実績が豊富か
まず確認すべきは、自社が希望する加工方法や材質での製作実績が豊富にあるかどうかです。
金属加工会社にはそれぞれ得意とする技術分野や対応可能な材質があります。
例えば、薄板の精密板金が得意な会社もあれば、難削材の切削加工に強みを持つ会社もあります。
会社のウェブサイトで公開されている加工事例や保有設備を確認し、自社の依頼内容と近い実績があるかをチェックしてください。
特に、特殊な材質や高精度が求められる複雑な加工を依頼する場合、類似案件の経験が豊富な会社ほど、品質の高い試作品を期待でき、技術的な提案も受けやすくなります。
1個の試作から快く引き受けてくれるか
試作品の製作は、基本的に1個や数個といった極小ロットでの依頼となります。
そのため、1個の試作からでも快く、かつ真摯に対応してくれる会社を選ぶことが重要です。
会社によっては量産案件を主としており、小ロットの試作には消極的な場合も見られます。
ウェブサイトに「試作品1個から対応」と明記されているかを確認するだけでなく、実際に問い合わせた際の担当者の反応や対応の丁寧さからも、その会社の姿勢をうかがい知ることが可能です。
試作の重要性を理解し、小規模な案件にも積極的に取り組んでくれるパートナーを見つけることが、スムーズな開発進行につながります。
量産化を視野に入れた製造ノウハウを持っているか
試作品は最終的に量産へ移行することを目指して作られます。
そのため、単に図面通りに作るだけでなく、量産化を見据えた製造ノウハウを持っている会社を選ぶことが望ましいです。
量産時の加工性やコストを考慮した材質の変更提案や、形状の最適化(VA/VE提案)をしてくれる会社であれば、開発の後工程がスムーズに進みます。
例えば、「試作段階では切削加工で作るが、量産ではプレス加工に移行しやすい形状にしておく」といった提案は、将来的なコストダウンに大きく貢献します。
試作段階から量産までを一貫して相談できるパートナーは、製品開発全体の成功に不可欠な存在です。
見積もり依頼への対応がスピーディーで丁寧か
見積もり依頼への対応は、その会社の業務品質や顧客への姿勢を判断する重要な指標となります。
開発スケジュールが限られている中で、見積もりの回答が遅い会社では、その後のやり取りにも不安が残ります。
スピーディーな対応はもちろんのこと、提示された見積書の内容が詳細で分かりやすいかどうかも確認してください。
単に金額が記載されているだけでなく、加工内容や納期、前提条件などが明確に記されていることが重要です。
また、図面で不明な点があれば積極的に質問してくるなど、正確な見積もりを出そうとする姿勢が見られる会社は、その後の加工においても信頼がおけます。
機密情報を守るための情報管理体制は万全か
試作品の図面や3Dデータは、未公開の製品情報を含む重要な機密情報です。
これらの情報が万が一外部に漏洩すれば、企業にとって大きな損害となりかねません。
そのため、依頼先の会社が適切な情報管理体制を構築しているかを確認することは必須です。
具体的には、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格である「ISO27001(ISMS)」を取得しているか、ウェブサイトなどでセキュリティポリシーを公開しているかなどをチェックします。
また、発注前には秘密保持契約(NDA)の締結に快く応じてくれるかどうかも、信頼性を判断する上で重要なポイントになります。
お問い合わせから納品まで!金属試作を依頼する基本的な手順
金属試作を外注する際の問い合わせから納品までの一般的な流れを解説します。
初めて依頼する場合でも事前に手順を把握しておくことで加工会社とのやり取りをスムーズに進めることが可能です。
通常図面の準備から始まり打ち合わせ発注製作そして納品というステップで進行します。
各段階でどのような準備や確認が必要になるのかを理解し手戻りのない効率的な試作品製作を目指しましょう。
STEP1:図面や3Dデータを準備して問い合わせる
まずは、試作を依頼したい部品の図面(2D図面)や3DCADデータを準備します。
正確な見積もりと製作のためには、これらの情報が不可欠です。
問い合わせフォームやメールで連絡する際には、図面やデータに加えて、希望する材質、製作個数、希望納期、そして想定している用途などを可能な限り具体的に伝えましょう。
情報が詳細であるほど、加工会社はより正確な見積もりを迅速に算出でき、適切な加工方法の提案も行いやすくなります。
もし手元に正式な図面がない場合でも、手書きのポンチ絵や簡単なスケッチがあれば相談に応じてくれる会社もあります。
STEP2:仕様や納期について担当者と打ち合わせる
問い合わせ後、加工会社の担当者から連絡があり、詳細な仕様や納期に関する打ち合わせを行います。
この段階で、図面だけでは伝わらない細かな要求事項や、製品の使用環境、特に重要視する性能などを伝えます。
加工会社側からは、図面に基づいた加工方法の提案や、品質を維持しつつコストを抑えるための技術的な提案(VA/VE提案)がなされることもあります。
この打ち合わせを通じて、お互いの認識をすり合わせ、実現可能な仕様を確定させていくことが重要です。
疑問点や懸念事項があれば、この時点で全て解消しておくようにしてください。
STEP3:提示された見積内容を確認して発注する
打ち合わせの内容を踏まえて、加工会社から正式な見積書が提示されます。
見積書を受け取ったら、金額だけでなく、記載されている納期、加工の前提条件、支払い条件などを詳細に確認してください。
打ち合わせで合意した仕様が正しく反映されているか、見積もりの有効期限はいつまでかといった点も重要なチェックポイントです。
複数の会社から見積もりを取っている場合は、それぞれの内容を比較検討します。
提示された内容に納得できれば、注文書を発行して正式に発注となります。
この時点で、秘密保持契約(NDA)を締結することも一般的です。
STEP4:依頼内容に基づき加工・製作を開始
正式な発注を受けると、加工会社は依頼内容に基づいて試作品の製作を開始します。
まず、必要な金属材料を手配し、図面や3Dデータをもとに加工プログラムを作成します。
その後、マシニングセンタやレーザー加工機といった工作機械を操作して、実際の加工工程へと進みます。
加工が完了した部品は、バリ取りや洗浄といった仕上げ作業が行われ、必要に応じて表面処理や組み立てが施されます。
製作期間中に仕様変更などが発生した場合は、速やかに担当者へ連絡し、対応が可能かを確認する必要があります。
STEP5:完成した試作品の検査と出荷・納品
完成した試作品は、出荷前に厳密な検査が行われます。
図面に記載された寸法や公差を満たしているか、三次元測定機やノギス、マイクロメータといった測定器具を用いてチェックされます。
また、傷や打痕、バリの残りなどがないか、外観の検査も念入りに行われます。
依頼によっては、寸法測定の結果を記載した検査成績書が添付されることもあります。
全ての検査項目をクリアした試作品は、輸送中に傷がつかないよう丁寧に梱包され、指定の納期に合わせて出荷・納品されます。
受け取り後は、速やかに内容物を確認してください。
金属試作を成功に導くために依頼者が押さえるべき3つのコツ
金属試作の成功は、加工会社の技術力だけでなく、依頼者側の準備や伝え方にも大きく左右されます。
加工会社との認識のズレを防ぎ、意図した通りの試作品をスムーズに製作してもらうためには、いくつかのコツがあります。
ここでは、依頼者が押さえておくべき3つの重要なポイントを紹介します。
試作品の用途を明確に伝えること、図面に必要な情報を盛り込むこと、そして複数の会社を比較検討することです。
これらの点を意識するだけで、手戻りのリスクを減らし、プロジェクトを円滑に進めることが可能になります。
試作品の用途や目的を具体的に伝える
図面だけを渡して「この通りに作ってください」と依頼するのではなく、その試作品を何に使うのか、どのような目的で製作するのかを具体的に伝えることが非常に重要です。
例えば、「外観デザインを確認するためのモックアップ」なのか、「強度試験を行うための機能試作」なのかによって、求められる精度や仕上げのレベルは異なります。
目的が明確に伝われば、加工会社は「この部分の公差はそれほど厳しくなくても良いのでコストを抑えられます」といった的確な提案がしやすくなります。
結果として、オーバースペックによる無駄なコストを削減し、目的に合致した品質の試作品を製作できます。
図面には公差や表面処理などの要求事項を明記する
図面は、加工会社に対して製作物の仕様を正確に伝えるための最も重要なドキュメントです。
寸法だけでなく、特に精度が求められる部分には必ず寸法公差や幾何公差を明記してください。
指示がない場合、一般的な加工公差で製作されるため、意図した精度が得られない可能性があります。
また、表面の滑らかさを指定する表面粗さの指示や、メッキ、塗装、アルマイトといった表面処理の種類、硬度を指定する熱処理の有無など、必要な要求事項は全て図面に記載することが原則です。
情報が不足していると、都度確認のやり取りが発生し、納期遅延の原因にもなります。
複数の会社から相見積もりを取って比較検討する
初めて依頼する案件や、特殊な加工が必要な場合には、複数の会社から相見積もりを取ることを推奨します。
相見積もりを行うことで、その加工内容に対するおおよその相場観を把握でき、コストの妥当性を判断する材料になります。
ただし、比較すべきは金額だけではありません。
提示された納期、担当者の対応の質、技術的な提案内容、品質保証体制などを総合的に比較検討することが重要です。
最も安いという理由だけで選んだ結果、品質が要求レベルに達していなかったり、納期遅延が発生したりするケースもあります。
コストと品質、対応力のバランスが最も優れた会社を選ぶことが、最終的な成功につながります。
金属の試作加工に関するよくある質問
ここでは金属の試作加工を依頼する際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
初めて外注を検討している方や具体的な依頼の進め方に疑問を持っている方は参考にしてください。
費用感や図面がない場合の対応、そして納期の目安など発注前に知っておきたい基本的な項目について解説します。
もちろん個別の案件によって条件は異なるため最終的には依頼先の会社に直接問い合わせて確認することが必要です。
試作品1個あたりの費用はどのくらいかかりますか?
試作品の費用は、材質、形状の複雑さ、寸法、求められる精度、加工方法、製作個数など、様々な要因によって大きく変動するため、「1個あたりいくら」と一概に言うことはできません。
例えば、手のひらサイズの単純な形状の部品であれば数千円から可能な場合もありますが、複雑な形状で高精度が求められる部品や、高価な材料を使用する場合は数十万円以上になることもあります。
また、同じ製品でも製作個数が1個と10個では単価が変わってきます。
正確な費用を知るためには、図面や3Dデータを準備した上で、加工会社に見積もりを依頼するのが最も確実な方法です。
図面がない状態でも相談に乗ってもらえますか?
正式な図面がない状態でも、相談に応じてくれる加工会社は多くあります。
手書きの簡単なスケッチやポンチ絵、あるいは参考にしたい現物(製品サンプル)があれば、それをもとに設計担当者がヒアリングを行い、CADデータや図面の作成からサポートしてくれる場合があります。
これをリバースエンジニアリングと呼びます。
ただし、図面作成には別途費用と時間が必要になることがほとんどです。
まずはアイデア段階でも一度相談してみることで、実現可能性やおおよその費用感についてアドバイスをもらえる可能性があります。
最終的な加工には、仕様を確定させた図面が必要不可欠です。
最短でどのくらいの期間で納品してもらえますか?
納期も費用と同様に、製品の仕様や製作個数、加工会社の稼働状況によって大きく異なります。
単純な形状の切削部品で、材料の在庫があれば数日で対応可能な場合もありますが、複雑な加工や複数の工程(板金、溶接、塗装など)が必要な場合、あるいは特殊な材料を取り寄せる必要がある場合は、数週間から1ヶ月以上かかることも珍しくありません。
特に、メッキや塗装、熱処理などの表面処理工程は外部の専門業者に委託することが多く、その分納期が長くなる傾向があります。
多くの会社では特急対応サービスも提供していますが、通常料金に加えて追加費用が発生する場合がほとんどです。
まとめ
本記事では、金属試作の基礎知識から、目的別の加工方法、材料選定のポイント、そして信頼できる外注先の選び方までを解説しました。
金属試作は、量産前のリスクを低減し、製品の品質を高めるために不可欠な工程です。
成功の鍵は、製品の要件に合った加工方法と材料を選定し、量産まで見据えた提案力を持つ信頼できるパートナー企業を見つけることです。
また、依頼者側も試作の目的を明確に伝え、必要な情報を図面に盛り込むことで、加工会社との円滑な連携が可能になります。
これらの情報を参考に、自社の製品開発プロジェクトに最適な試作会社を選定してください。
- 製品紹介
-
加工方法
-
放電加工「放電加工」とは、金属など電気を通す素材(導体)に対して、機械的な刃物で削るのではなく、 電気放電による熱エネルギーを使って材料を除去していく加工技術です。 一般に「EDM(Electrical Di..
-
ローレット加工ローレット加工とは?―滑り止めやデザイン性を高める表面加工 ローレット加工とは、金属部品の表面に細かい凹凸のパターン(滑り止め模様)を刻む加工方法です。旋盤などで「ローレット工具(ローレットホイール)..
-
板金加工板金加工とは?―金属板からの形状作成・加工技術 板金加工は、金属の薄板(鋼板、ステンレス、アルミ板など)を用い、切断・折り曲げ・パンチング・溶接・仕上げなどの工程で、機械部品・筐体・カバー・パネルなど..
-
- サクッと学べる金属加工の話
- 加工に関するお問い合わせ