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精密加工品

シャフト加工とは?旋盤を用いた種類と加工方法を解説

シャフト 加工

シャフト加工とは、主に機械の回転力を伝える軸状の部品を製作する技術全般を指します。この記事では、シャフト加工の基礎知識として、その概要から代表的な種類、そして中心的な加工機である旋盤を用いた具体的な加工方法までを解説します。

加工時に発生しやすい課題や精度を高めるためのポイントにも触れ、初学者の方がシャフト加工の全体像を理解できるよう構成しました。

そもそもシャフト加工とは?

シャフト加工とは、モーターなどの動力を歯車やプーリーに伝える軸状の部品を、金属などの材料から削り出して製作する技術のことです。
主な加工方法として旋盤を用いた切削加工があり、円筒状の材料を回転させ、バイトと呼ばれる工具を当てて目的の形状に削るのが基本となります。
この削り作業によって、外径や長さ、段差といったシャフトに求められる精密な形状を作り出します。

単に削るだけでなく、キー溝の追加や高精度な仕上げ研削など、複数の加工を組み合わせて一本の製品が完成します。
動力伝達という重要な役割を担うため、高い寸法精度や表面の滑らかさが要求される金属加工の一つです。

代表的なシャフトの種類

シャフトと一言でいっても、その形状や用途によって様々な種類が存在します。
最もシンプルな直線の丸棒であるストレートシャフトから、複数の部品を取り付けるために直径が変化する段付きシャフト、軽量化を実現する中空シャフトまで多岐にわたります。

ここでは、機械設計や部品加工の現場でよく目にする代表的なシャフトを3つ取り上げ、それぞれの特徴と主な用途を解説します。
これらの基本形状を理解することは、適切な加工品の選定や設計に役立ちます。

複数の段差を持つ段付きシャフト

段付きシャフトは、一本の軸に直径の異なる部分が複数存在する形状を持つ部品です。
この段差は、ベアリングやギア、カラーといった他の機械要素を正確な位置に固定する役割を果たします。
段差の側面がストッパーとなることで、部品が軸方向に動くのを防ぎます。

加工においては、段差の角部分に応力集中を避けるため、「逃げ」と呼ばれる溝を設けることが一般的です。
この逃げ加工により、組み付けられる部品が角部に干渉せず、根元までしっかりとはまるようになります。
複数の部品を一体で管理できるため、多くの機械で採用されている形状です。

内部が空洞になっている中空シャフト

中空シャフトは、その名の通り内部が空洞になっているパイプ状のシャフトです。
同じ外径の通常のシャフト(中実シャフト)と比較して、大幅な軽量化を実現できる点が最大のメリットです。
機械の慣性モーメントを低減させたい場合や、装置全体の重量を軽くしたい場合に採用されます。

また、空洞部分を配線や配管のスペースとして活用できるため、設計の自由度が高まる利点もあります。
加工においては、肉厚が薄いと歪みやびびりが発生しやすくなるため、適切な切削条件やワークの固定方法が求められます。
スリーブなどの筒状部品もこの一種と見なせます。

歯車状の溝があるスプラインシャフト

スプラインシャフトは、軸の円周上にキー溝のような凸凹の溝が複数切られているシャフトです。
この歯車状の溝が相手側の部品(スプラインハブ)の溝と噛み合うことで、非常に大きな回転トルクを滑りなく確実に伝達します。

自動車のドライブシャフトや、工作機械の主軸、モーターの出力軸など、強力な動力伝達が必要な箇所で広く利用されています。
キー1本で固定する方式に比べて、複数の溝で力を分散して受けるため、伝達能力が高く、バックラッシ(がたつき)も少なくできます。
スプライン部分の加工には、専用のホブ盤や歯切り盤が用いられるのが一般的です。

シャフト加工で用いられる3つの主要な加工方法

シャフトを目的の形状に仕上げるまでには、いくつかの加工工程を経る必要があります。
加工の基本となるのは、材料を回転させて外形を削り出す旋盤加工です。
しかし、より高い精度が求められる場合や、特殊な形状を追加する場合には、他の加工方法が組み合わされます。

ここでは、シャフト加工において中心となる3つの主要な加工方法、旋盤加工、研削加工、そしてフライス加工について、それぞれの役割と特徴を解説します。

回転させて削る旋盤加工

旋盤加工は、シャフト加工における最も基本的で中心的な工程です。
円筒状の加工物(ワーク)をチャックで掴んで回転させ、そこにバイトと呼ばれる刃物を当てて外径を削り出します。
ワークが回転し、工具が直線的に動くことで、真円度の高い円筒形状を効率的に作り出すことが可能です。

外径を削る「外径加工」のほか、端面を平らにする「端面加工」、段差を付ける「段付け加工」、穴をあける「ドリル加工」、ねじ山を作る「ねじ切り加工」など、シャフトに必要な多くの基本形状をこの旋盤加工で形成します。
加工の大部分を占める重要な役割を担っています。

砥石で高精度に仕上げる研削加工

研削加工は、旋盤加工の後に行われる仕上げ工程であり、より高い寸法精度や表面粗さを実現するために用いられます。
この加工では、高速で回転する砥石をワークに当て、表面をわずかに削り取ります。
旋盤加工で残る微細な凹凸を取り除き、鏡のような滑らかな面に仕上げることが可能です。

特に、ベアリングが接触する部分やオイルシールが摺動する部分など、精密な寸法公差と優れた面品位が要求される箇所に施されます。
研削は切削加工の一種ですが、切り込み量が非常に小さいため、ミクロン単位での寸法調整ができます。
研磨作業も同様に表面を滑らかにする目的で行われます。

キー溝などを作るフライス加工

フライス加工は、シャフトにキー溝やDカット(半月状の平面)といった、円筒形状以外の加工を施す際に用いられる方法です。
旋盤がワークを回転させるのに対し、フライス盤ではエンドミルなどの工具を高速回転させ、固定したワークに当てて削ります。
これにより、回転運動を伝えるためのキーがはまる溝や、ネジで固定するための平面部分などを作成できます。

シャフトの円周上に平行な2つの平面を作る「二面幅加工」もフライス加工で行われます。
旋盤加工だけでは完結しない形状を付加するために不可欠な工程であり、シャフトの機能を多様化させます。

旋盤加工で発生しやすい3つの課題

シャフト加工、特にその中心となる旋盤加工では、いくつかの典型的な課題が発生しがちです。
特に、細くて長い長尺シャフトや、直径の小さい小径シャフトは、加工物自体の剛性が低いため、問題が顕著に現れる傾向があります。

ここでは、現場で頻繁に遭遇する「びびり振動」「切粉の巻きつき」「寸法ばらつき」という3つの代表的な課題を取り上げ、その現象と原因について解説します。
これらの課題を理解することが、品質向上の第一歩です。

加工面に模様がつく「びびり」や振動の発生

「びびり」とは、加工中にワークや工具が異常振動を起こし、加工面にうろこ状の模様が残ってしまう現象です。
このびびり振動が発生すると、設定した寸法通りの加工ができないだけでなく、部品の表面粗さが悪化し、外観や性能に悪影響を及ぼします。

主な原因は、ワークの剛性不足、工具の突き出し長さが長いこと、または工作機械自体の剛性が低いことなどが挙げられます。
特に、細長いシャフトを加工する際はワークがたわみやすく、びびりが発生しやすくなります。
切削条件が不適切な場合にも起こり得る、旋盤加工において最も注意すべき現象の一つです。

工具に絡みつく切粉の巻きつき

旋盤加工では、削られた金属が切粉となって排出されますが、この切粉が長くつながってしまい、回転するワークや工具に絡みつくことがあります。
この巻きつき現象は、加工精度を著しく低下させる原因となります。
巻き付いた切粉が加工面を傷つけたり、工具の刃先を破損させたりする危険性を伴います。

さらに、自動運転中に発生すると、機械の停止や不良品の大量発生につながることもあります。
特に、粘り気の強い材料や、ねじ切り加工のように連続して切削する工程では発生しやすく、適切な切粉処理が不可欠です。

要求精度を満たせない直径寸法のばらつき

シャフト加工では、ミクロン単位の精密な寸法公差が要求されることが少なくありません。
しかし、加工中に発生する熱によってワークが膨張したり、切削抵抗によってワークや機械がわずかにたわんだりすることで、直径寸法にばらつきが生じることがあります。
また、長時間加工を続けると工具の刃先が摩耗し、徐々に加工寸法が変化していくことも原因の一つです。

これらの要因が複合的に作用し、目標とする寸法から外れてしまう問題は、特に高精度な部品を製作する上で大きな課題となります。
安定した品質を維持するためには、これらの変化を管理しなくてはなりません。

シャフト加工の精度を高めるためのポイント

シャフト加工で発生しがちな課題を克服し、要求される精度を安定して実現するためには、いくつかの重要なポイントがあります。
びびりや寸法のばらつきといった問題は、工具の選定やワークの固定方法、切削条件の最適化など、多角的なアプローチによって改善が可能です。

ここでは、加工精度を向上させるための具体的な対策を4つの視点から解説します。
これらのポイントを実践することで、加工品質の安定化と生産性の向上が期待できます。

びびりや振動を抑制する工具・設備の選定

びびり振動を抑制するためには、まず加工システム全体の剛性を高めることが重要です。
具体的には、シャンク(柄)が太く、突き出し長さができるだけ短い工具を選定し、工具自体のたわみを最小限に抑えます。
また、防振機構を備えた特殊なツールホルダを使用することも非常に効果的です。

さらに、ワークを掴むチャックの把握力を高めたり、剛性の高い工作機械を選定したりすることも根本的な対策となります。
このように、工具から機械本体に至るまで、振動が発生しにくい剛健な設備を選ぶことが、高品位な加工面を得るための第一歩です。

切粉の排出性を考慮したインサートの選択

切粉の巻きつき問題を解決するには、切粉を適切に分断し、スムーズに排出させることが鍵となります。
そのために重要なのが、インサート(スローアウェイチップ)の選定です。
インサートには「チップブレーカ」と呼ばれる溝や突起が設けられており、この形状によって切粉の流れ方が決まります。

材料の性質や切削条件に合わせて、切粉が細かくカールするように分断されるチップブレーカを選ぶことで、巻きつきを効果的に防止できます。
タップ加工などでも同様に、切り屑の排出性が加工品質を左右するため、工具選定は慎重に行う必要があります。

振れ止めや心押し台でワークをしっかり固定する

細長いシャフトを加工する際に発生しやすいたわみや振動は、ワークの支持方法を工夫することで大幅に抑制できます。
その代表的な方法が、「振れ止め(ステディレスト)」と「心押し台(テールストック)」の使用です。
振れ止めは、ワークの途中を外部から支える装置で、加工中のたわみを直接的に防ぎます。

一方、心押し台はワークの端面をセンターで支持することで、主軸と反対側をしっかりと固定し、加工システム全体の剛性を高めます。
これらの補助具を用いてワークを確実に固定することが、長尺シャフトを安定して高精度に加工するための必須条件です。

材料や形状に合わせた切削条件の最適化

加工精度を最終的に決定づけるのは、回転速度、送り速度、切り込み量といった切削条件の組み合わせです。
これらの条件は、加工する材料の硬さや粘り、ワークの直径や長さといった形状によって最適値が異なります。

例えば、びびりが発生しやすい場合は、回転速度を調整したり、切り込み量を変更したりすることで振動を抑えられる場合があります。
切粉の処理がうまくいかない場合も、送り速度の変更が有効です。
工具メーカーが推奨する標準的な条件をベースに、実際の加工状況を観察しながら微調整を繰り返し、最適な条件を見つけ出す作業が不可欠となります。

用途に応じて選ぶシャフトの材質

シャフトの性能は、その形状や寸法精度だけでなく、使用される材質によっても大きく左右されます。
どのような環境で、どの程度の負荷に耐える必要があるのかといった使用用途に応じて、最適な材料を選定することが重要です。
強度、耐食性、重量、コストなど、考慮すべき要素は多岐にわたります。

ここでは、シャフトによく使用される代表的な金属材料を、「強度」「耐食性」「軽量性」という3つの視点から分類し、それぞれの特徴と適した用途について解説します。

高い強度が求められる場合に適した材料

大きなトルクを伝達したり、重い荷重を支えたりするなど、高い強度が求められるシャフトには、主に鉄系の材料が使用されます。
代表的なのが、機械構造用炭素鋼鋼材であるS45Cで、熱処理(焼入れ・焼戻し)を施すことで硬度と強度を向上させられます。

さらに高い強度が必要な場合は、クロムモリブデン鋼(SCM435など)のような合金鋼が選定されます。
これらの材料は、工作機械の主軸や自動車の駆動部品など、過酷な条件下で使用されるシャフトに適しています。
また、強度と錆びにくさを両立させたい場合には、析出硬化系ステンレス鋼なども選択肢となります。

錆びにくさ(耐食性)を重視する場合の材料

食品機械や医療機器、屋外など、水や薬品に触れる環境や錆の発生を嫌うクリーンな環境では、耐食性に優れた材料が不可欠です。
この用途で最も一般的に使用されるのがステンレス鋼で、特にSUS304は代表的な材質として広く利用されています。
より高い耐食性が求められる沿岸部や化学プラントなどでは、SUS316が選ばれます。
ステンレス鋼は強度も比較的高いため、多くの用途に対応可能です。

その他、軽量化も同時に実現したい場合にはアルミ合金、特に高い耐薬品性が求められる特殊な環境ではチタン合金が使用されることもあります。

機械の軽量化に貢献する材料

高速で回転する部品や、ロボットアームのように軽量であることが求められる装置では、シャフト自体の重さが性能に大きく影響します。
このような軽量化を目的とする場合、比重が鉄の約3分の1であるアルミニウム合金が第一の選択肢となります。

中でもA2017(ジュラルミン)やA7075(超々ジュラルミン)は、アルミ合金の中でも高い強度を持つため、構造部品として利用可能です。
さらに軽量かつ高強度、高耐食性が求められる航空宇宙分野などでは、チタン合金が採用されます。
各材料メーカーは、強度や切削性などを改良した様々な特性の合金を開発しています。

まとめ

シャフト加工は、機械の動力伝達を担う重要な軸部品を製作する技術であり、その基本は旋盤による切削加工です。
段付き、中空、スプラインなど多様な種類のシャフトは、旋盤加工を主軸に、高精度な仕上げを目的とした研削加工や、キー溝などを追加するフライス加工を組み合わせて作られます。

加工時には、びびり振動や切粉の巻きつきといった特有の課題が発生しやすく、これらに対処するためには、工具や設備の適切な選定、ワークの確実な固定、そして材料や形状に応じた切削条件の最適化が不可欠です。
材質の選定もシャフトの性能を決定づける重要な要素となります。


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