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アイナットとは?アイボルトとの違いやねじの規格をわかりやすく解説

アイナットの画像

アイナットとは、リング状の頭部を持つナットのことで、重量物を吊り上げる際の吊り具として利用されます。

この記事では、アイナットの基本的な知識から、混同されがちなアイボルトとの違い、選定に不可欠なねじの規格や安全な使い方までを解説します。

アイナットの「とは」を理解し、適切な製品選びと作業に役立つ情報を紹介するため、初めて扱う方もぜひ参考にしてください。

アイナットとは?重量物の吊り上げに使うリング付きナットのこと

アイナットは、頭部にリングがついたナットの一種で、英語では「EyeNut」と表記されます。
その主な用途は、機械や設備、金型といった重量物を吊り上げる際の連結部品として機能することです。

おねじが切られたボルトや吊り荷に設けられたねじ山に締め付けて使用し、リング部分にワイヤーロープやフックを掛けて吊り作業を行います。

材質やねじのサイズによって耐えられる重さが異なり、さまざまな種類が存在するため、用途に応じて適切な製品を選定する必要があります。
このリング形状が目のように見えることから、アイナットという名称で呼ばれています。

アイナットとアイボルトの決定的な違いは「おねじ」か「めねじ」か

アイナットとアイボルトは形状が似ているため混同されやすいですが、構造に決定的な違いがあります。
その違いは、ねじ部分が「めねじ」か「おねじ」かという点です。

アイナットは内側にねじ山が切られた「めねじ」構造を持つナットであり、すでに取り付けられているボルトや、対象物から突き出た全ねじなどに締め付けて使用します。

一方、アイボルトは外側にねじ山が切られた「おねじ」構造を持つボルトです。
こちらは対象物に設けられたねじ穴に直接ねじ込んで固定します。
この構造の違いにより、使用する状況や対象物が異なるため、目的に合わせて正しく使い分けることが重要です。

アイナットが活躍する具体的な使用例

アイナットの具体的な使用方法としては、主に大型の機械やモーター配電盤などの重量物を移動させる際の吊り作業が挙げられます。

例えば、機械の上部に長い全ねじボルトを貫通させ、下からナットで固定し、上部からアイナットを締め付けて吊り点を設けます。
このリング部分にクレーンのフックやワイヤーロープを掛けることで、安全に吊り上げや運搬が可能になります。

その他にも、建築現場で資材を吊り下げるための一時的な固定具としてや、船舶でロープを固定するための取付金具としても活用されます。
このように、重量物の安全な移動や固定が必要な多様な場面で活躍しています。

知っておきたいアイナットの基本的な規格

アイナットを安全に使用するためには、その基本的な規格を理解することが不可欠です。
製品の寸法や強度などを定めた代表的な規格としてJISB1169があり、市場に流通する多くの製品がこの規格に準拠しています。
この規格では、ねじの呼び径(サイズ)や各部の寸法、保証荷重などが細かく規定されています。

ねじのピッチには並目と細目といった種類があり、相手側のボルトと合致するものを選ばなければなりません。
規格を正しく理解し、使用する環境や吊り荷の重量に適した製品を選ぶことが、安全な作業の第一歩となります。

JIS規格で定められたねじの呼び径(M)

アイナットを選定する上で最も基本となるのが、JIS規格で定められた「ねじの呼び径」です。
これは一般的に「M」から始まる記号で表されるメートルねじのことで、ねじの直径の基準となるサイズを示します。
例えば、M8、M10、M12、M16、M20といったサイズが一般的に多く使用されます。
規格ではM2のような小さなものから、M42やM64といった非常に大きなものまで幅広く規定されています。

この呼び径が相手となるボルトの径と一致していないと正しく取り付けることができません。
メートルねじ以外にも5/16のようなインチサイズの規格も存在するため、選定時には必ず使用するボルトの規格を確認する必要があります。

安全な作業に必須の「使用荷重」

アイナットの選定において、ねじのサイズと並んで極めて重要なのが「使用荷重」です。
使用荷重とは、そのアイナットを安全に使用できる最大の荷重(質量)を指し、通常はkgやkN(キロニュートン)といった単位で表記されます。
吊り上げる対象物の重量を正確に把握し、その重量を十分に上回る使用荷重を持つアイナットを選定しなければ、破損による重大な事故を引き起こす危険があります。

特に、吊り上げる角度によって許容される荷重は変化するため、垂直吊りを基準とした使用荷重の値を必ず確認することが求められます。
安全性を確保するため、荷重に余裕を持たせた製品選定が不可欠です。

アイナットの耐荷重について

アイナットは、ねじサイズごとに使用荷重(SWL)が定められており、正しいサイズ選定が不可欠です。

以下に一例を示します(JIS B 1168準拠):

呼び径(M)定格使用荷重(kgf)※垂直吊りとして
M880
M10150
M12220
M16450
M20630
M24950

※上記は垂直吊りの場合の目安です。

アジアプランニングが扱うアイナット

当社では、以下のような豊富なラインナップのアイナットを取り扱っております。

ステンレス製アイナット(JIS 1169/鍛造製)

サイズ小箱(入り数 × 箱数)
M3100 × 10
M4100 × 10
M5100 × 10
M6200 × 6
M8100 × 6
M1050 × 6
M1225 × 6
M1415 × 6
M1615 × 6
M1810 × 6
M2010 × 6
M225 × 6
M245 × 6
W3/850 × 6
W1/225 × 6

三価クロメート製アイナット(JIS 1169/鍛造製)

サイズ小箱(入り数 × 箱数)
M1050 × 6
M1225 × 6

用途によって選ぶアイナットの主な材質

アイナットは使用される環境や目的に応じて、さまざまな材質で作られています。
材質によって強度や耐食性、価格が大きく異なるため、適切な選定が重要です。
最も一般的には鉄が使われますが、錆を防ぐためにユニクロメッキなどの表面処理が施されたものが多く流通しています。

屋外や湿度の高い場所ではステンレス製が適しており、さらに特殊な環境下では軽量で高強度なチタン製が用いられることもあります。
表面処理がされていない生地の製品もあり、こちらは使用後に塗装する場合などに選ばれます。

一般的に流通している「鉄(スチール)」製

市場で最も広く流通しているアイナットは、鉄(スチール)製のものです。
鉄は比較的安価でありながら高い強度を持つため、コストを抑えたい場合や一般的な屋内環境での使用に適しています。
ただし、鉄は錆びやすいという性質があるため、そのままの状態(生地)で使われることは少なく、表面に亜鉛メッキなどの防錆処理が施されている製品がほとんどです。

このメッキ処理により耐食性を高めていますが、屋外や水に濡れる環境での長期間の使用には向いていません。
強度と経済性のバランスが取れているため、多様な産業分野で標準的に利用されています。

耐食性に優れ錆びにくい「ステンレス」製

ステンレス製のアイナットは、その優れた耐食性が最大の特徴です。
ステンレスは鉄を主成分としながらクロムなどを含む合金で、表面に不動態皮膜を形成するため非常に錆びにくくなっています。
この特性から、ステン製のアイナットは屋外設備、船舶、化学プラント、食品加工機械など、湿気や水分、薬品にさらされる過酷な環境での使用に最適です。

鉄製のものと比較して価格は高くなる傾向にありますが、錆による劣化が少なくメンテナンスの手間を軽減できるため、長期的な視点で見るとコストパフォーマンスに優れる場合もあります。
美観を長く保ちたい場所での利用にも適しています。

アイナットSとは?通常品との違いを解説

アイナットSは、スターポイントやキー付きアイナット、回転アイナットなどとも呼ばれ、通常のアイナットとは異なる機能を持つ製品です。
最大の違いは、リング部分が荷重のかかる方向へ360度回転するスイベル機構を備えている点にあります。

この機能により、通常のアイナットでは危険とされる横吊りや斜め吊り、引き起こし作業にも安全に対応可能です。
リングが自在に動くため、常に荷重方向にまっすぐ力がかかり、ねじ部への無理な負荷を軽減します。
取付けには専用のキーやレンチが必要な場合が多く、ボルトとセットで供給されることもあります。
より高度な安全性と汎用性が求められる吊り作業で選ばれます。

アイナットを安全に使用するための注意点

アイナットを安全に使用するためには、いくつかの重要な注意点を守る必要があります。
まず、使用前には必ず製品に亀裂や摩耗、変形がないかを目視で点検してください。
取付け時は、相手のねじ山を清掃し、アイナットが座面に完全に密着するまでしっかりと締め付けることが重要です。

また、吊り荷の重量を正確に把握し、製品のカタログなどで使用荷重を確認し、その範囲内で使用することを徹底しなければなりません。
製品はホームセンターでも入手可能ですが、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが望ましく、タキゲンのような専門メーカーのカタログやCADデータを参考に仕様を確認すると確実です。
価格だけでなく、安全性を最優先した製品選定と正しい使用方法が求められます。

まとめ

アイナットは、リング状の頭部を持つめねじ構造の部品で、重量物の吊り上げ作業に不可欠です。
ボルト形状のアイボルトとは構造が異なるため、用途に応じて使い分ける必要があります。
選定する際には、JISB1169などの規格に基づいたねじの呼び径(サイズ)と、吊り上げる物の重量を十分に上回る使用荷重を確認することが極めて重要です。

また、使用環境に応じて、一般的な鉄製や耐食性に優れたステンレス製といった材質を選ぶ必要があります。
安全な作業のためには、使用前の点検や正しい取付方法を遵守し、製品の仕様を正しく理解することが求められます。