精密加工品
切削加工のメリット・デメリット

試作から量産立ち上げまで、最適な加工を選ぶために
切削加工(マシニング、旋削、フライス、穴あけ等)とは、素材から不要部分を削り出して形にする加工のことです。
NC化・自動化の進展により、高精度の部品を短納期で安定供給できるプロセスとして、試作から量産立ち上げの初期段階まで幅広く選ばれています。
本記事では、切削加工のメリットとデメリットを整理し、どのような案件に適しているかを解説します。
切削加工のメリット

高精度・高品質な加工が可能
切削加工は、±0.01mm台の寸法管理や、面粗度Ra1〜3µmクラスの仕上げ(条件・材質による)に対応しやすいのが強みです。
位置決め精度や同軸度が重要な精密部品、摺動部・嵌合部なども、適切な工具・治具と条件設定で安定した品質を実現できます。
機能評価や組付け検証を伴う試作段階に最適です。
形状自由度と設計変更への柔軟性
3軸/4軸/5軸のマシニングセンタや複合旋盤の活用で、直方体・円筒・薄肉・テーパ・局所的なポケット形状まで幅広く対応可能です。
図面修正や仕様変更が生じても治具・プログラムの改修で追随しやすいため、試作~設計確定までの反復改良に向いています。
少量・多品種に強い(初期コストが低い)
プレスやダイカストのように高額な金型を必要とせず、1個からの小ロット試作でも成立します。
治具は必要に応じて簡易に製作でき、リードタイムも比較的短くできます。
開発ステージでの意思決定を支えるスピード重視の調達手段です。
材質の選択肢が広い
アルミ(A2017、A5052、A6061、A7075など)、ステンレス(SUS303/304/316等)、炭素鋼・合金鋼(S45C、SCM435等)、銅・真鍮、チタン合金まで、一つの工法で多様な材質に対応できます。
部品ごとに最適材を選定でき、材料単体の評価も容易です。
表面処理・追加工との親和性
切削後にアルマイト、黒染め、ニッケルメッキ、研磨、ショット加工、溶接・圧入・組立など、後工程との接続がしやすいのも魅力。
評価目的に応じ、段階的にグレードを上げるアプローチが取りやすいです。
切削加工のデメリット(留意点)
材料ロスが出やすい
削り代が大きいほど材料の歩留まりは低下し、材料費+加工時間の両面でコストに影響します。
設計段階での素材取り・削り代最適化が重要になります
量産単価は他工法に劣る場合がある
10,000個以上の量産では、金型を用いるプレス・ダイカスト・MIM・粉末冶金などが有利になるケースが多いです。
切削はサイクルタイム短縮に限界があり、高ボリュームでのコスト最適化は他工法の検討が必須です。
薄肉・長尺・微細形状は条件がシビア
薄肉や深リブ、長尺シャフト、微細穴などは、びびり・反り・熱変形・工具逃げにより寸法・面粗度の確保が難しくなります。
治具剛性、クランプ位置、工具突出し量、クーラント、切削条件の最適化が不可欠です。
ステンレス等の加工硬化・工具摩耗
オーステナイト系SUSや析出硬化系合金、チタン等は加工硬化、低熱伝導、工具摩耗が発生するリスクがあります。
また切込み・送り・刃先材種/コーティング、クーラント供給、段取り回数の最小化など、加工者のノウハウに依存しやすい加工方法です。
切削加工が“最適”になるケース
- 試作・設計検証:1個〜数十個。精度・組付け・耐久・放熱の実機確認
- 多品種・変種変量:都度仕様が変わる治具、検査用治具、小ロット受託製作
- 高精度部品:軸受ハウジング、精密シャフト、摺動部、気密部品、治具ベース
- 材料評価:アルミやSUS、チタンなど合金の実加工での挙動を知りたいとき
- 量産前の立ち上げ:金型前の橋渡し、部品間公差の整合、治具の確立
切削加工より他工法が向くケース

- 超大量生産:コスト最小化が第一の一般形状 → プレス/ダイカスト等へ
- 肉厚均一の薄板量産:複雑形状でもプレス金型での展開が優位
- 鋳肌で十分な大型部品:鋳造でニアネット→必要部のみ切削仕上げが低コスト
コスト・納期を最適化する設計/発注のコツ
- 加工基準面の明確化:基準穴・基準面の定義、累積公差を抑える図面構成
- 公差・粗度の“要否”整理:すべてを高精度にせず、機能に効く箇所へ集中
- 素材取りと削り代:規格材の取り都合、板厚・丸棒径の標準化でリードタイム短縮
- 形状簡素化:エンドミルが入らない袋形状、極端な深リブはコスト増
代替形状提案を受け入れる柔軟性も成果に直結 - 後工程の一括手配:表面処理・組立・梱包仕様まで一気通貫で依頼すると、トータル納期と輸送リスクが下がります
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