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精密加工品

C1220(りん脱酸銅)とは?強度や比重などの特性を解説

C1220

C1220とは、JIS規格で定められたりん脱酸銅の一種です。
この材質は、純銅に微量のリンを添加して脱酸処理を施した銅合金であり、優れた加工性や溶接性、耐熱性を持ちます。

純銅と比較して導電率はやや劣るものの、水素ぜい化を起こしにくい特性から、熱交換器や給湯器の配管など、高温環境での使用に適しています。
本記事では、C1220の基本的な特徴から、強度や比重といった物理的・機械的性質、具体的な用途までを解説します。

C1220(りん脱酸銅)が持つ基本的な特徴

C1220(りん脱酸銅)は、純度99.90%以上の銅に、脱酸剤として0.015~0.040%のリンを添加した銅材料です。
このリンの添加により、酸素含有量が極めて低く抑えられ、溶接時や高温加熱時に問題となる「水素ぜい化」を防ぐ高い耐熱性を実現しています。

また、純銅が持つ優れた展延性を維持しており、曲げ加工や絞り加工といった塑性加工が容易です。
融点は約1083℃で、耐食性にも優れるため、空調配管や給湯設備など、加工と耐久性が求められる幅広い分野で活用されています。

優れた加工性と溶接性を両立

C1220は、純銅に近い柔らかさと優れた展延性を持ち、曲げ加工や深絞り加工が容易な材質です。
この高い加工性は、ヤング率が約118GPaと比較的低く、塑性変形させやすいことに起因します。

また、脱酸処理によって内部の酸素が除去されているため、ろう付けや溶接を行っても接合部が脆くなる水素ぜい化のリスクが極めて低く、信頼性の高い接合が可能です。
熱伝導率や導電率も良好な値を維持していますが、タフピッチ銅(C1100)に比べると導電率は若干低下します。
密度や比熱などの物理的性質は純銅とほぼ同等で、扱いやすい材料として知られています。

水素ぜい化を起こしにくい高い耐熱性

C1220の大きな特徴は、高温環境下での安定性、特に水素ぜい化に対する強い耐性です。
水素ぜい化とは、銅に含まれる酸化銅(Cu2O)が、高温の還元性雰囲気中で水素(H2)と反応し、水蒸気を発生させて亀裂を生じさせる現象です。
C1220は製造工程でリンを添加して酸素を除去しているため、この原因となる酸化銅がほとんど存在しません。

そのため、溶接やろう付けなど高温での加熱処理を伴う用途に適しています。
質別によって機械的性質は異なり、例えば1/2Hや2Hといった加工硬化材は、引張強さや硬さが高められていますが、この耐熱性は維持されます。

純銅に匹敵する良好な耐食性

C1220は、その化学成分の大部分が銅で構成されているため、純銅と同等の優れた耐食性を示します。
銅は、乾燥した大気中では表面に安定した酸化皮膜を形成し、内部の腐食進行を防ぐ性質を持ちます。
湿度の高い環境や水中でも優れた耐久性を発揮し、緑青と呼ばれる緻密な保護皮膜を形成することで、長期にわたって安定した状態を保ちます。

この特性により、給水・給湯用の配管や建築材料として広く利用されています。
リンの含有量はごく微量であるため、銅本来の耐食性を損なうことはありません。

C1220の特性を構成する3つの要素

C1220の特性は、物理的性質、機械的性質、そして化学成分という3つの要素によって総合的に決まります。これらの性質を理解することは、材料選定や設計、加工方法の検討において不可欠です。物理的性質は比重や熱伝導率など材料固有の値を、機械的性質は質別によって変化する強度や硬さを指します。

化学成分は、JIS規格(JIS H3100準拠)によって銅とリンの含有量が定められています。銅は99.90%以上、リンは0.015%から0.040%の範囲で規定されています。これらの要素が組み合わさることで、C1220は板、パイプ、板材など様々な形状で、多岐にわたる用途に最適な性能を発揮します。

C1220の物理的性質(比重・熱伝導率など)

C1220の物理的性質はJISH3100やJISH3300などの規格で定められています。
代表的な数値として、比重は8.94g/cm³であり、これは鉄よりも重い値です。
融点は1083℃で、純銅とほぼ同じです。
熱伝導率は385W/(m・K)と非常に高く、この特性が熱交換器などの用途に適しています。

一方、導電率は85%IACS以上と規定されており、純銅であるタフピッチ銅の約100%IACSに比べると若干劣ります。
これは、脱酸剤として添加されたリンが電気抵抗を増加させるためで、高い導電性が最優先される用途では注意が必要です。

質別で変わるC1220の機械的性質(引張強さ・硬さ)

C1220の機械的性質、特に引張強さや硬さ、伸びは、圧延や引き抜きなどの冷間加工と、その後の熱処理によって調整される「質別」によって大きく変化します。
質別は、加工されていない焼きなまし状態の「O材」から、加工硬化の度合いに応じて1/4H、1/2H、H材といった記号で表されます。

例えば、O材は引張強さが低く伸びが大きいため、曲げや深絞りなどの複雑な加工に適しています。
一方で、H材などの硬質材は加工によって強度と硬さが高められており、ある程度の剛性が求められる部品に使用されます。
このように、用途や加工方法に応じて最適な質別を選定することが重要になります。

C1220を構成する化学成分

C1220の化学成分は、JIS規格によって厳密に規定されています。
主成分は銅(Cu)で、その純度は99.90%以上と定められています。
そして、この材料の最大の特徴である脱酸剤として、リン(P)が0.015%から0.040%の範囲で含まれます。

この微量のリンが、溶解銅の中に含まれる酸素と結合して除去する役割を果たし、後の工程での溶接やろう付けの際に問題となる水素ぜい化を防ぎます。
タフピッチ銅(C1100)には酸素が意図的に残されているのに対し、C1220ではこのリンによって酸素が徹底的に取り除かれている点が、両者の特性を分ける重要な違いです。

C1220の代表的な用途例

C1220は、その優れた加工性、溶接性、耐熱性、耐食性を活かして、多岐にわたる分野で使用されています。
最も代表的な用途は、給湯器やエコキュート、エアコンの内部で熱を交換するための熱交換器部品や接続用の銅管です。
複雑な形状への加工が容易であり、ろう付けによる接合も確実に行えるため、これらの製品に不可欠な材料となっています。

また、建築分野では給水・給湯用の配管として長年にわたり使用されており、その高い信頼性が評価されています。
その他、化学工業用の各種配管、ガス管、フレア加工を施す継手部品、電子機器のコネクタ端子など、その用途は非常に広いです。

C1220とC1220Sの違いについて

C1220とC1220Sは、JIS規格上では同じ「りん脱酸銅」として扱われ、化学成分や基本的な特性に違いはありません。
材料記号の末尾に付く「S」は、特定のメーカーが付与する記号や、特別な品質保証、あるいは特定の加工方法(例えばシームレスパイプなど)を示唆する場合がありますが、公的な規格で明確に区別されているわけではありません。
そのため、実用上はC1220とC1220Sを同一の材料として扱うことが一般的です。

ただし、特定の用途でメーカーを指定する場合や、特別な品質要求がある場合は、発注時にその記号の意味をメーカーに確認することが推奨されます。
基本的には、どちらも優れた加工性と耐熱性を持つりん脱酸銅です。

C1220を材料として使用する際の注意点

C1220はその優れた特性から多くの利点を持つ一方、材料として使用する際にはいくつかの注意点が存在します。
特に、設計段階と加工段階で考慮すべきポイントがあり、これらを理解しておくことでトラブルを未然に防ぎ、材料の性能を最大限に引き出すことが可能です。

例えば、純銅と比較して強度が低い点や、導電率が他の銅材料より劣る点を設計に反映させる必要があります。
また、加工時にはその柔らかさゆえの課題も生じることがあるため、適切な対策が求められます。

設計段階で押さえておきたいポイント

C1220を設計に用いる際は、まずその機械的強度を考慮する必要があります。
純銅と同様に柔らかい材料であるため、高い構造強度が求められる部品には不向きです。
特に高温環境では強度がさらに低下する傾向があるため、使用温度と負荷を計算に入れた設計が不可欠です。

また、導電性に関しては、タフピッチ銅(C1100)や無酸素銅(C1020)に比べて劣ります。
そのため、モーターの巻線や電力ケーブルなど、電気抵抗の低さが最優先される用途では、これらの材料との比較検討が重要になります。
一方で、耐食性や耐熱性は優れているため、流体を扱う配管や熱が加わる環境での使用を前提とした設計には非常に適した材料といえます。

加工時に発生しやすいトラブルとその対策

C1220は加工性に優れる反面、その柔らかさと粘り強さが原因で加工時にトラブルを引き起こすことがあります。
代表的な例が切削加工時のバリの発生です。
材料が粘りを持つため、刃物で切断した際にきれいに分離せず、縁にバリが残りやすくなります。
対策としては、すくい角の大きいシャープな刃物を使用したり、切削速度や送り速度を適切に調整したりすることが有効です。

また、切りくずが長くつながりやすく、工具に絡みつくトラブルも発生しがちです。
これには、チップブレーカー付きの工具を使用する、あるいは高圧のクーラントで切りくずを強制的に分断する方法があります。
プレス加工においては、材料の弾性によるスプリングバックが大きめに出ることも考慮した金型設計が求められます。

まとめ

C1220は、純銅に微量のリンを添加して脱酸処理を施したりん脱酸銅であり、JIS規格に定められた銅合金の一種です。
この材料の最大の特徴は、加工性、溶接性、耐熱性、耐食性のバランスに優れている点にあります。
特に、高温加熱時に材料が脆くなる水素ぜい化を起こしにくいため、溶接やろう付けを伴う部品に最適です。

その特性から、熱交換器、給湯器やエアコンの配管、建築用銅管など、幅広い用途で利用されています。
機械的性質は質別によって異なるため、設計や加工の際には用途に応じた適切な質別の選定が重要です。
導電率は純銅にやや劣るものの、多くの場面でその利点が上回る、非常に有用な工業材料です。


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