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精密加工品

ヘリカル加工とは?やり方からNCプログラムの計算方法まで解説

ヘリカル加工

ヘリカル加工とは、工具をらせん状に動かしながら穴をあける切削加工技術です。

この記事では、ヘリカル加工の基本的な仕組みから、ドリル加工と比較したメリット・デメリット、そしてNCプログラムの作成方法や計算式までを解説します。
工具集約や切削抵抗の低減といった現場の課題解決に役立つ知識を提供します。


ヘリカル加工とは?工具がらせん状に動く仕組みを解説


ヘリカル加工とは、マシニングセンタなどのNC工作機械が持つ「ヘリカル補間機能」を用いて行う加工方法です。

この機能は、円弧補間(X軸とY軸の円運動)と直線補間(Z軸の直線運動)を同時に制御します。
これにより、使用する工具は円を描きながら指定された深さまでらせん状に進み、穴を削り広げていきます。

ドリルを使わずにエンドミルなどの工具で穴をあけられるのが大きな特徴です。

ヘリカル加工の4つのメリット|工具集約や切削抵抗の低減に貢献

ヘリカル加工には主に4つのメリットがあります。
第一に、1本のエンドミルでさまざまな径の穴をあけられるため、工具本数を削減し、工具交換の時間も短縮可能です。
第二に、切削抵抗が低く、機械への負担を軽減できます。
薄肉のワークや剛性の低い機械での加工にも適しています。

第三に、切りくずが細かくなりやすく、排出性に優れているため、深穴加工でもトラブルが起きにくいです。
最後に、スローアウェイ式の工具を使用すれば、コストを抑えながら大径の穴あけが実現します。

ヘリカル加工のデメリットと対策|注意すべきポイントを解説

ヘリカル加工は、技術の進歩により加工時間が改善されつつあります。

従来のヘリカル加工エンドミルでは加工時間が長いという課題がありましたが、最新のドリルミルではドリル加工に近い速度での加工も可能とされています。

また、ランピング角度を大幅に上げて加工時間を短縮する技術も開発されています。

しかし、NCプログラムが円弧と直線の組み合わせになるため、手打ちで作成する場合は複雑になるという側面は依然として存在します。特に、工具ごとに設定されている「ランピング角度」には注意が必要です。

この角度を超える急な角度で切り込むと、工具の底刃に過大な負荷がかかり、破損の原因となる可能性があります。

対策として、CAMを用いて安全なプログラムを生成したり、工具メーカーが推奨する切削条件を守ったりすることが重要です。

ヘリカル加工が用いられる主な用途は3つ


ヘリカル加工は、その特性を活かして多様な場面で利用されます。
特に代表的な用途として、さまざまな径に対応できる穴あけ加工、スレッドミルを用いたねじ切り、そしてポケット加工におけるアプローチ動作の3つが挙げられます。

これらの用途は、いずれもヘリカル加工が持つ切削抵抗の低さや工具集約といったメリットを最大限に活用するものです。
特に大径の穴加工では、ドリルよりも効率的な場合があります。

用途1:さまざまな径の穴あけ加工

ヘリカル加工の最も一般的な用途は、ドリルを使わない穴あけです。
通常、穴の径ごとに専用のドリルが必要ですが、ヘリカル加工では1本のエンドミルでプログラム上の円弧半径を変えるだけで、さまざまな径の穴をあけられます。
これにより、工具本数の削減や工具交換の手間を省くことが可能です。

特に、ドリルでは対応が難しい大径の穴や、貫通前の下穴加工、座ぐり加工などで広く活用されています。

用途2:スレッドミリングによるねじ切り加工

スレッドミリングは、スレッドミルを用いてヘリカル加工を行い、ネジ山を形成する加工方法です。
タップ加工と異なり、1本の工具で同じピッチであれば右ねじ・左ねじ、さらには異なる径のめねじ・おねじを加工できます。

切削抵抗が低いため、大径のネジや難削材の加工に適しています。
また、万が一工具が破損しても、タップのようにワーク内に折れ残るリスクが低い点もメリットです。

用途3:ポケット加工におけるヘリカルアプローチ

ポケット加工において、工具が材料に切り込んでいくアプローチ方法としてもヘリカル加工が用いられます。
工具を垂直に下降させるのではなく、らせん状に少しずつ切り込むことで、工具への負荷を緩和します。
これは、工具の寿命を延ばし、安定した加工を実現するために有効な手法です。

特に、底刃の無いエンドミルを使用する場合や、高硬度の材料を加工する際に、ランピング加工と並んで選択されます。

ヘリカル加工のNCプログラム|指令方法と計算式の基本

ヘリカル加工のNCプログラムは、円弧補間指令(G02/G03)とZ軸方向の直線送りを組み合わせることで作成します。
工具が1周する間にZ軸がどれだけ進むか(ピッチ)を指定するのが基本です。
プログラム作成において最も重要なのは、工具の中心が動く速度と刃先が実際にワークを削る速度が異なるため、送り速度の補正計算を行うことです。

この計算を怠ると、切削条件が不適切になり、加工品質の低下や工具の破損につながるため、正確なncプログラムの理解が不可欠です。

G02/G03を使ったNCプログラムの基本構成

ヘリカル加工のプログラムは、円弧補間を指令するGコードであるG02(時計回り)またはG03(反時計回り)を用いて構成されます。
1ブロック内でXY平面上の円弧移動と、Z軸方向への直線移動を同時に指令するのが特徴です。
円弧の終点座標(X,Y)と円弧中心から見た始点の相対座標(I,J)、または円弧半径(R)、そしてZ軸の目標座標(Z)と送り速度(F)を指定します。

以下に簡単なプログラム例を示します。
G03X10.0Y10.0Z-1.0I-10.0J0F100;

【重要】工具中心送りと刃先送りの計算方法

ヘリカル加工では、プログラムで指令する送り速度(工具中心送り)と、実際にワークを削る刃先の送り速度が異なります。
特に内径を加工する場合、刃先の移動距離は工具中心の移動距離より短くなるため、指令通りの送り速度では刃先送りが必要以上に遅くなってしまいます。
逆に外径加工では速くなります。
そのため、狙い通りの切削を行うには、刃先送りを基準に工具中心送りを計算し直す必要があります。

計算式:工具中心送り速度=刃先送り速度×(加工円弧半径±工具半径)÷加工円弧半径(内径加工時:-,外径加工時:+)

回転数(S)や切り込み量の決め方

ヘリカル加工における回転数や1刃あたりの送り量といった切削条件は、使用する工具メーカーが提供する推奨値を基準に設定するのが基本です。
特に重要なのが、1周あたりのZ軸方向の切り込み量です。
この値は、工具に設定されている最大ランピング角度を超えないように注意しなければなりません。

推奨値が見つからない場合は、まず低めの条件から開始し、加工中の音や切りくずの状態を確認しながら最適な条件を見つけ出します。

ヘリカル加工を成功させる工具選びと機械の条件

ヘリカル加工を成功させるには、適切な工具の選定と、工作機械が条件を満たしていることが不可欠です。
工具は、加工内容に適した刃長や剛性を持つエンドミルを選ぶ必要があります。
また、工作機械には円弧補間と直線補間を同時に行う「ヘリカル補間機能」が搭載されていなければなりません。

これらの選定を誤ると、加工精度の低下や工具の破損、さらには機械の故障につながる可能性もあるため、慎重な確認が求められます。

ヘリカル加工に適したエンドミルの選定ポイント

ヘリカル加工に使用するエンドミルを選ぶ際は、いくつかのポイントがあります。
まず、Z軸方向に切り込むため、必ず底刃が付いているタイプを選定することが必須です。
次に、切りくずの排出性が重要になるため、溝(フルート)が深く、ねじれ角が適切なエンドミルが適しています。

また、加工する穴の深さに応じて十分な刃長が必要ですが、突き出し量が長くなりすぎると剛性が低下するため、可能な限り短い工具を選ぶことが加工の安定につながります。

使用する工作機械に「ヘリカル補間機能」は必要か

ヘリカル加工を行うためには、使用する工作機械に「ヘリカル補間機能」が搭載されていることが必須条件です。
この機能は、XY平面の円弧運動とZ軸の直線運動を同時に制御するものです。
近年のマシニングセンタやNC旋盤の多くは標準でこの機能を搭載していますが、古い機械や一部の廉価なモデルではオプション設定の場合があります。

自社の設備でヘリカル加工が可能か不明な場合は、機械の取扱説明書やメーカーの仕様書を確認する必要があります。

ヘリカル加工に関するよくある質問

ここでは、ヘリカル加工に関して現場の技術者が抱きやすい疑問とその回答をまとめました。

Q1. ドリル加工とヘリカル加工はどう使い分ければいいですか?

小径で深い穴の量産には加工速度の速いドリル加工が、工具種類を減らしたい場合や大径の穴加工にはヘリカル加工が適しています。
機械の剛性が低い場合や、切りくずの排出性が重視される場面でもヘリカル加工が有効です。
加工時間、コスト、求める精度を総合的に判断して使い分けます。

Q2. ヘリカル加工のプログラムでよくあるエラーの原因は何ですか?

主な原因は、円弧補間指令(G02/G03)における座標値や半径の指定ミスです。
特に、円弧中心の相対座標(I,J)の符号間違いや、工具径補正(G41/G42)の適用漏れ、キャンセル忘れがエラーにつながりやすいです。
プログラム作成後は、実加工の前に必ずシミュレーションで動作を確認することが重要です。

Q3. 3D-CAD/CAMを使えばプログラムの計算は不要になりますか?

はい、ほとんどの場合で手計算は不要になります。
3D-CAD/CAMソフトウェアは、工具径や切削条件、ランピング角度などを考慮して、最適な工具軌道を自動で計算し、安全で効率的なNCプログラムを生成します。

これにより、手打ちで発生しがちな計算ミスやプログラムのエラーを大幅に削減できます。

まとめ

ヘリカル加工は、工具をらせん状に動かすことで、1本の工具でさまざまな径の穴あけを可能にする加工方法です。
切削抵抗が低く、切りくず排出性に優れるといったメリットがあり、大径穴加工やねじ切り、ポケット加工のアプローチなど幅広い用途で活用されます。
NCプログラムの作成には送り速度の補正計算など注意が必要ですが、CAMの活用によりその手間は大幅に削減できます。

加工の特性を理解し、適切な工具と条件を選定することが重要です。

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