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精密加工品

リーマ加工とは?精度を上げるコツと工具の種類、トラブル対策

リーマ加工

リーマ加工とは、ドリルなどで開けられた穴を、より高い精度で仕上げるための切削加工技術です。

この記事では、リーマ加工の基本的な知識から、加工精度を向上させる具体的なコツ、さらには現場で起こりがちなトラブルの原因と対策までを網羅的に解説します。
加工内容に応じた工具の種類と適切な選び方についても紹介し、リーマ加工に関する理解を深めます。

リーマ加工とは?ドリル加工との違いと目的を解説

リーマ加工とは、ドリルやエンドミルであらかじめ開けられた下穴に対して、リーマと呼ばれる工具を用いて高精度な寸法、優れた真円度、滑らかな表面粗さを得るための仕上げ加工です。

ドリル加工が穴を開けることを主目的とするのに対し、リーマ加工は既存の穴の品質を高める点に特徴があります。

具体的には、ドリル加工のみでは達成が難しいミクロン単位の寸法公差や、鏡面に近い仕上げ面を実現するために行われます。

高精度な仕上げを実現するリーマ加工の基本的な手順

リーマ加工による高精度な仕上げは、正しい手順を踏むことで実現されます。

まず、目的の寸法や材質に合わせて適切な下穴を準備することから始まります。
次に、加工物の材質を考慮して最適な回転数と送り速度といった切削条件を設定します。

加工中は、潤滑や冷却のために切削油を十分に供給し、最終的にリーマを正回転させたまま、あるいは回転を止めてからゆっくりと引き抜く、という一連の手順で進められます。

手順1:加工内容に合わせた下穴を準備する

リーマ加工の品質は、加工前に準備する下穴の状態で大きく左右されます。
下穴はドリルやエンドミルなどを用いて、リーマ径よりもわずかに小さく開けておく必要があります。
このリーマで削り取る部分を「取り代」と呼び、取り代が大きすぎるとリーマに過大な負荷がかかり、逆に小さすぎるとリーマが穴の表面をこするだけで十分に切れず、加工硬化などを引き起こす原因となります。

一般的に、取り代は加工する穴の直径に応じて0.1mmから0.5mm程度の範囲で設定されます。

手順2:適切な切削条件(回転数・送り速度)を設定する

リーマ加工では、切削条件の設定が仕上げ面の品質に直接影響します。
基本的な条件として、ドリル加工と比較して回転速度を遅くし、送り速度を速くする「低速回転・高送り」が推奨されます。

具体的には、切削速度はドリルの半分程度、送り速度は2〜3倍程度が目安です。
この条件により、刃先にかかる負荷が適切に分散され、摩擦熱の発生が抑制されることで、構成刃先の付着やむしれといったトラブルを防ぎ、滑らかな加工面を得られます。

手順3:切削油を十分に供給しながら加工する

加工中の潤滑、冷却、そして切り屑の排出を円滑に行うために、切削油の供給は不可欠です。
適切な切削油を使用することで、リーマの刃先と加工物との間で発生する摩擦が低減され、仕上げ面の粗さが向上します。
また、冷却効果によって工具の摩耗を抑え、寿命を延ばすことにもつながります。

特にステンレス鋼のような粘り強い材質の加工では、構成刃先の発生を防ぐ上で切削油の役割は非常に重要です。
加工内容に応じて不水溶性または水溶性の油剤を選択し、十分に供給し続ける必要があります。

手順4:加工完了後は逆回転させずに引き抜く

リーマ加工における重要な注意点として、加工が完了した後に工具を逆回転させないことが挙げられます。
リーマの刃は一方向の切削に特化して設計されているため、逆回転させると刃先が欠けたり、仕上げたばかりの加工面を傷つけたりする原因となります。
穴が広がり、寸法精度が悪化する可能性も高まります。

加工後は、機械の主軸を正回転させたまま引き抜くか、回転を完全に停止させてから、穴の中心線に沿ってまっすぐに引き抜くのが正しい方法です。

リーマ加工の精度を最大限に高める4つのコツ

リーマ加工で求める精度を達成するためには、いくつかの重要なコツを押さえる必要があります。
これから紹介する4つのポイントは、いずれも最終的な加工品質に大きく影響します。
下穴の精度管理から、工具の取り付け状態、切り屑の処理、そして材料に適した工具選定まで、各工程での細やかな配慮が、より高い精度の実現につながります。

コツ1:仕上がりを左右する下穴の精度を確保する

リーマ加工の仕上がり精度は、下穴の精度に大きく依存します。
リーマは下穴に倣って加工を進めるガイドの役割も担うため、下穴自体が曲がっていたり、真円度が低かったりすると、リーマを通してもその誤差を完全に修正することは困難です。

下穴の寸法が不均一な場合も、リーマの刃にかかる負荷が変動し、最終的な穴の寸法や面粗度の悪化につながります。
したがって、リーマ加工の前工程であるドリル加工などにおいて、できる限り垂直で真円に近い、正確な寸法の下穴を準備することが極めて重要です。

コツ2:工具の振れ(ランアウト)を最小限に抑える

工具の振れ(ランアウト)は、加工精度を低下させる主要な要因の一つです。
リーマが回転中に中心からずれて振れ回ると、実際の切削径がリーマの外径よりも大きくなり、穴の寸法が拡大してしまいます。
また、振れは工具の刃に不均一な負荷をかけるため、真円度の悪化や加工面のむしれを引き起こす原因ともなります。

この問題を解決するためには、高精度なコレットチャックやハイドロチャックを使用する、あるいはリーマ専用のフローティングホルダを用いて工具の芯ずれを吸収させるといった対策が有効です。

コツ3:切り屑の排出をスムーズに行い詰まりを防ぐ

加工中に発生する切り屑の排出は、加工品質を維持する上で非常に重要です。
切り屑が穴の中に詰まると、仕上げ面を傷つけて面粗度を悪化させるだけでなく、工具に過大な負荷がかかり、最悪の場合はリーマの破損につながることもあります。
特に止まり穴の加工では切り屑が逃げにくいため、注意が必要です。

対策としては、切り屑を後方に排出できるねじれ刃のリーマを選定する、十分な量の切削油を供給して切り屑を洗い流す、あるいは間欠的に送りを行うステップフィードを導入することが効果的です。

コツ4:加工物の材質や特性に合った工具を選ぶ

被削材の材質に最適な工具を選ぶことは、高精度な加工を実現するための基本です。
例えば、アルミのような柔らかく粘りのある材質には、切り屑の溶着を防ぐためのすくい角が大きい刃を持つリーマが適しています。

一方で、ステンレスやチタンといった硬くて加工が難しい難削材には、高い硬度と耐摩耗性を持つ超硬合金製のリーマや、特殊なコーティングが施された工具が有効です。
被削材の特性を理解し、それに合った材質、刃の形状、コーティングが施された工具を選定することが、安定した加工品質につながります。

【用途別】リーマ工具の主な種類と正しい選び方

リーマ工具には多種多様な種類が存在し、それぞれの用途や加工方法に応じて適切に選択する必要があります。
工作機械で用いるものと手作業で使うもので大別されるほか、刃の形状や材質によっても特徴が異なります。

例えば、穴の仕上げに特化したリーマと、穴の拡大や形状加工も可能なエンドミルでは、工具の構造と用途が根本的に異なります。
加工の目的を明確にし、最適な工具を選ぶことが重要です。

機械加工で使われる「マシンリーマ」

マシンリーマは、マシニングセンタ、旋盤、フライス盤、ボール盤といった工作機械に取り付けて使用するために設計されたリーマです。
高速での回転と自動送りに耐えられるよう、高い剛性と耐久性を備えているのが特徴です。
シャンク(機械への取り付け部分)の形状には、ストレートシャンクとテーパシャンクの2種類が主流で、使用する工作機械のチャックに合わせて選択します。

機械加工の特性を活かし、効率的かつ高精度な量産加工に適しており、産業の現場で広く利用されています。

手作業で仕上げる「ハンドリーマ」

ハンドリーマは、その名の通り手作業で穴の最終仕上げを行うために使用される工具です。
タップハンドルなどに取り付けて、手で回転させながら加工します。
特徴として、先端に長い食付き部(テーパ部)が設けられており、手作業でも穴に挿入しやすく、スムーズに食い付くように設計されています。

マシンリーマに比べて切削量は少ないですが、微調整や既存の穴をわずかに拡大する際に用いられます。
高いトルクがかかる機械加工での使用は、工具の破損につながるため原則としてできません。

刃の形状による違い:ストレート刃とねじれ刃

リーマの刃の形状は、主にストレート刃(直刃)とねじれ刃(スパイラル刃)に分類され、それぞれに特徴があります。
ストレート刃は構造がシンプルで汎用性が高く、多くの材質に使用できますが、切り屑は前方に押される傾向があります。
一方、ねじれ刃は食い付き性が良く、切削抵抗が少ないため滑らかな加工面を得やすいのが利点です。

ねじれの向きによって切り屑の排出方向が異なり、右ねじれは切り屑を後方(シャンク側)に、左ねじれは前方(進行方向)に排出するため、通り穴か止まり穴かによって使い分けられます。

材質による違い:ハイス鋼と超硬合金

リーマの性能を決定づける主要な材質として、ハイス鋼(高速度工具鋼)と超硬合金があります。
ハイス鋼は靭性(粘り強さ)に優れており、衝撃に強く欠けにくいという特徴を持つため、汎用的な加工に広く用いられています。
一方、超硬合金はハイス鋼よりもはるかに硬度が高く、優れた耐摩耗性を誇ります。

これにより、ステンレス鋼などの難削材の加工や、高速での大量生産において長寿命を発揮します。
ただし、超硬合金は硬い分もろく、衝撃に弱い側面も持ち合わせています。

【症状別】リーマ加工でよくあるトラブルの原因と対策法

リーマ加工は高精度な仕上げを目指す一方で、さまざまなトラブルが発生しやすい工程でもあります。
寸法が公差を外れる、加工面が荒れるといった品質に関する問題から、工具の破損に至るまで、その症状は多岐にわたります。
ここでは、現場でよく遭遇する代表的なトラブルを症状別に挙げ、その原因と具体的な対策法を解説します。

適切なトラブルシューティングは、品質の安定と生産性の向上に不可欠です。

ケース1:穴の寸法が公差から外れる(大きすぎる・小さすぎる)

穴の寸法が指示された公差から外れる問題は、リーマ加工で頻繁に発生します。
穴径が設計値より大きくなる主な原因は、工具の振れ、下穴の曲がり、または不適切な切削条件です。
一方、穴径が小さくなる原因としては、リーマの刃先の摩耗や、アルミなどの柔らかい素材で発生しやすい構成刃先が考えられます。

対策としては、工具の振れを測定してホルダを見直す、下穴の精度を確認する、リーマの摩耗状態を点検して交換するなど、原因に応じた寸法管理が求められます。

ケース2:加工した穴の表面(面粗度)が荒れてしまう

加工面の粗さ(面粗度)が悪化し、傷やむしれが発生するトラブルも少なくありません。
この主な原因は、構成刃先の発生、切削速度が速すぎること、切り屑の排出不良などが挙げられます。
構成刃先とは、削り屑が刃先に溶着して切れ味を鈍らせる現象で、特に仕上げ面の品質を大きく損ないます。

対策として、切削速度を下げて送り速度を上げる、潤滑性の高い切削油を使用する、切り屑の排出性に優れたねじれ刃のリーマに変更するなど、切削条件と工具の見直しが有効です。

ケース3:加工中に工具(リーマ)が欠けたり折れたりする

加工中に工具であるリーマが欠損したり、折損したりするトラブルは、生産を中断させる深刻な問題です。
この最も一般的な原因は、下穴の径が小さすぎて取り代が過大になっていることです。
リーマに設計以上の切削負荷がかかることで破損に至ります。

その他、工具の振れが大きすぎることや、切り屑が穴の中で詰まってしまうことも原因となり得ます。
対策としては、まず下穴の寸法が適切であるかを確認し、必要であれば大きくします。
また、工具の振れを最小限に抑える、切り屑排出を改善するなどの対策も重要です。

ケース4:穴が真円にならず、むしれや食い込みが発生する

リーマ加工を行ったにもかかわらず、穴がきれいな円形にならず、真円度が悪化するケースがあります。
この原因としては、下穴自体の真円度が低い、機械の主軸と下穴の中心がずれている、工具の振れが大きい、などが考えられます。
リーマは下穴に沿って進むため、元の穴の形状が悪いと修正しきれません。

また、刃が不均等に摩耗している場合も、切削バランスが崩れて真円度を損なう原因となります。
対策は、下穴の精度を高めること、芯出しを正確に行うこと、そしてフローティングホルダなどを用いて芯ずれを吸収する方法が有効です。

リーマ加工に関するよくある質問

ここでは、リーマ加工の実務において、多くの技術者が抱える疑問について回答します。

Q1. リーマ加工における下穴径(取り代)は、どのくらいが適切ですか?

リーマ加工の下穴径は、リーマ径から適切な取り代を引いたサイズにします
取り代は一般的に、加工する穴の直径の1%〜3%程度が目安とされますが、材質によって調整が必要です。
例えば、直径10mmの穴なら、取り代は直径で0.1mm〜0.3mm程度が適切です。

取り代が多すぎると工具の負担が大きく、少なすぎると加工硬化の原因になるため、適切な設定が重要です。
また、穴の入り口にはリーマを案内するための面取りを施すことが推奨されます。

Q2. 止まり穴にリーマ加工を行う際の注意点はありますか?

止まり穴のリーマ加工では、切り屑の排出が最も重要な注意点です。
切り屑が穴の底に溜まると、工具の破損や加工面の悪化を引き起こします。
このため、切り屑を後方へ排出する右ねじれ刃のリーマを選択するのが効果的です。

また、切削油を十分供給して切り屑を洗い流すことや、工具を一度抜いて切り屑を除去するステップ加工も有効な手段です。
深穴になるほど切り屑の排出は困難になるため、特に注意が必要です。

Q3. リーマの再研磨は可能ですか?その場合の注意点は何ですか?

リーマの再研磨は可能ですが、高い精度が要求されるため専門の工具研削業者に依頼するのが一般的です。
注意点として、再研磨を行うとリーマの外径がわずかに小さくなることが挙げられます。
そのため、再研磨後は工具径を正確に測定し、加工プログラムの補正が必要になる場合があります。

特に、精密な寸法公差が求められる加工では、再研磨による径の変化が品質に直接影響するため、管理を徹底しなくてはなりません。

まとめ

本記事では、リーマ加工の基礎知識から、具体的な作業手順、加工精度を高めるための実践的なコツ、そして発生しがちなトラブルの原因と対策について解説しました。

リーマ加工は、ドリルで開けた穴の寸法精度、真円度、表面粗さを向上させるための重要な仕上げ工程です。
適切な工具を選定し、下穴の精度確保や切削条件の最適化、切り屑の管理といったポイントを押さえることで、高品質な製品づくりが実現します。


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