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SUS304とは?ステンレス鋼の特性とSUS316・SUS430との違いを解説

SUS304

SUS304とは、数あるステンレス鋼の種類の中でも最も代表的で、汎用性に優れた素材です。
この記事では、SUS304の基本的な特性から、そのメリット・デメリット、さらにはよく比較されるSUS316やSUS430との違いについて詳しく解説します。

ステンレスはJIS規格によって様々な種類に分類されており、それぞれの特性を理解することは、製品設計や材料選定において極めて重要です。

SUS304とは?最も広く使われるステンレス鋼の基本


SUS304は、JIS規格で定められたオーステナイト系ステンレス鋼の代表的な鋼種です。
「SUS」とは「Steel Use Stainless」の略語であり、ステンレス鋼を意味します。
その組織は、高温状態で安定するオーステナイトという結晶構造を常温でも保持している点が特長です。

この組織により、SUS304は原則として磁性を持たない非磁性の素材となります。
表面に形成される強固な酸化被膜によって高い耐食性を持ち、加工性や溶接性にも優れるため、家庭用品から産業機械まで非常に幅広い分野で使用されています。
類似の鋼種も多く存在しますが、最も標準的なステンレス素材として広く認知されています。

SUS304が持つ主なメリット

SUS304が持つ大きな特徴は、その優れた汎用性にあります。
クロムとニッケルを主成分とすることで表面に強固な不動態皮膜が形成され、サビの発生を防ぐ高い耐食性を実現しています。
また、靭性に富むオーステナイト系の組織であるため、曲げや絞りといった冷間加工性が良好です。
溶接性にも優れており、様々な構造物への適用を容易にしています。

さらに、高温強度に優れる環境から、低温脆性を起こしにくい極低温の環境まで、幅広い温度域で使用できる耐熱性・耐低温特性も兼ね備えています。
ステンレスは電気を通す導電性も有しており、これらの多様なメリットが多くの用途で採用される理由となっています。

知っておきたいSUS304のデメリット

汎用性の高いSUS304ですが、特定の環境下では弱点も存在します。
その一つが、塩化物イオン環境下で引張応力がかかった際に発生する応力腐食割れです。
また、500~800℃の温度域にさらされると、クロム炭化物が結晶粒界に析出して耐食性が低下する鋭敏化という現象が起き、粒界腐食の原因となることがあります。

加工面では、粘り気が強く熱伝導率が低いため、切削加工時に工具との間で摩擦熱による焼き付きを起こしやすい点に注意が必要です。
さらに、本来は非磁性ですが、曲げや絞りなどの冷間加工によって組織がマルテンサイトに変態し、磁性を帯びる加工誘起マルテンサイト変態という現象が発生します。
これらのデメリットを理解し、使用環境や加工方法を適切に選定することが求められます。

JIS規格で定められたSUS304の仕様

SUS304の品質は、日本産業規格(JIS)によって厳密に管理されています。
この規格では、材料として最低限満たすべき化学成分の範囲や、引張強さ、耐力、伸びといった機械的性質が具体的に規定されています。

これにより、メーカーやロットが異なっても、SUS304として一定の品質が保証され、設計者は安心して材料選定を行うことができます。
規格に定められた仕様を理解することは、製品の性能や信頼性を確保する上で不可欠です。

SUS304を構成する化学成分の内訳

JIS規格で定められたSUS304の成分は、主成分である鉄(Fe)をベースに、クロム(Cr)が18.00~20.00%、ニッケル(Ni)が8.00~10.50%と規定されています。
この組成から「18-8ステンレス」とも呼ばれます。
クロムは表面に不動態皮膜を形成して耐食性を高め、ニッケルはその皮膜を安定させるとともに、オーステナイト組織を形成するために不可欠な元素です。
炭素量(C)は0.08%以下と定められており、この炭素の含有量が溶接性や耐食性に影響を与えます。

この他にも、マンガン(Mn)、リン(P)、硫黄(S)、ケイ素(Si)などの成分が規定値内に管理されており、これらのバランスによってSUS304特有の性質が発揮されます。
成分表は、その材料の基本的な特性を理解する上で重要な情報源となります。

SUS304の強度や硬さを示す機械的性質

SUS304の機械的性質はJIS規格によって保証されており、設計上の重要な指標となります。
代表的なものとして、引張強さは520N/mm²以上、0.2%耐力は205N/mm²以上と定められています。
材料が破断するまでにどれだけ伸びるかを示す伸びは40%以上と非常に大きく、粘り強い特性を持っていることがわかります。
硬さは、ブリネル硬さで187以下、ロックウェル硬さで90以下と規定されています。

また、物理的性質としてSUS304の比重は7.93であり、製品の重さを計算する際に用いられます。
熱伝導率は比較的低く、これらの機械的・物理的性質は、部材にかかる応力や歪みを考慮した強度設計の基礎データとなります。

SUS304とSUS304Lは何が違う?低炭素版の特徴を解説



SUS304Lは、SUS304の極低炭素鋼バージョンです。
「L」はLowCarbonを意味し、その名の通り炭素(C)の含有量を0.030%以下に抑えています。
SUS304では、溶接などの熱影響によって炭素がクロムと結合し、耐食性を低下させる粒界腐食が発生する懸念がありました。

SUS304Lは炭素量を低減することでこの問題を解決し、溶接後でも優れた耐食性を維持できます。
そのため、溶接を多用するプラントの配管やタンクなど、より高い耐食信頼性が求められる用途で選定されます。
ただし、炭素量が少ない分、機械的強度はSUS304に比べて若干低くなる傾向があります。

代表的なステンレス鋼SUS316・SUS430との比較

SUS304は汎用性に優れますが、用途によっては他のステンレス鋼が適している場合があります。
ここでは、同じオーステナイト系のSUS316と、系統が異なるフェライト系のSUS430を比較します。
SUS316は耐食性をさらに向上させた高機能材、SUS430は経済性に優れた材料として位置づけられます。

これら以外にもマルテンサイト系のSUS403や析出硬化系のSUS630、あるいはアルミなど、目的やコストに応じて様々な材料が選択肢となり、それぞれの特性を理解した上での使い分けが重要です。

耐食性に優れるSUS316との違い

SUS316とSUS304の最大の違いは、モリブデン(Mo)の添加の有無です。
SUS316はSUS304の成分にモリブデンを2.00~3.00%加えることで、耐食性を大幅に向上させています。
特に、SUS304が苦手とする塩化物イオンに対する耐性が高く、海水や潮風にさらされる沿岸部や屋外での塩害対策に効果的です。

この特性から、船舶部品や化学プラントなど、より過酷な腐食環境で使用されます。
また、孔食や隙間腐食といった局部的な腐食に対しても強い抵抗力を示します。
硫酸や塩酸などの酸性溶液や、各種薬品に対する耐薬品性もSUS304より優れており、高い耐腐食性が要求される場面で選択される鋼種です。

磁性を持つSUS430との違い

SUS430はニッケルを含まずクロムを主成分とするフェライト系ステンレス鋼の代表格で、SUS304との最も大きな違いは磁性を持つ点です。
結晶構造がフェライト組織であるため磁石に付き、この特性を利用した用途もあります。
また、高価なニッケルを含まないため、価格が比較的安価な点も大きなメリットです。
耐食性はSUS304より劣りますが、一般的な室内環境であれば十分な性能を発揮します。

加工性に関しては、SUS304ほどの延性はないため深絞りなどには向きませんが、厨房機器の部材や建築内装、自動車部品などコストが重視される分野で広く採用されています。
マルテンサイト系ステンレスと同様に熱処理による硬化はできません。

SUS304はどんな製品に使われる?主な用途例を紹介


SUS304の優れた耐食性と加工性は、非常に多岐にわたる用途で活用されています。
身近な例では、家庭用のキッチンシンクや調理器具、食器類が挙げられます。
産業分野では、食品プラントや化学プラントのタンク、配管、バルブなど、清浄性や耐食性が求められる設備に不可欠な素材です。

また、その美しい外観から建築物の内外装材や手すり、ボルト、ナット、ワッシャー、リングといった締結部品にも使用されます。
その他、自動車の排気系部品や鉄道車両の構体、さらには収納ラックやパイプフレームなど、強度と耐久性が求められる様々な構造物でSUS304の使用例を見つけることができます。
株式会社MISUMIが提供するmeviyのような部品調達サービスでも、代表的な材料として扱われています。

SUS304を加工する際の代表的な方法

SUS304は様々な方法で加工され、製品へと姿を変えます。
表面処理としては、研磨によって光沢を出すバフ研磨や、砥粒の細かい研磨ベルトで連続した筋目をつけたヘアライン仕上げ、光沢を抑えたマット調の2B仕上げなどがあります。
また、溶接部のスケール除去や耐食性向上のために酸洗いが行われることもあります。
切削加工は可能ですが、粘り気が強く切削性が良いとは言えないため、工具の選定や加工条件に工夫が必要です。

熱処理としては、加工で生じた内部応力を取り除く応力除去焼鈍や、組織を均一化して軟化させる固溶化熱処理が施されます。
特に冷間加工によって硬化した材料を軟化させる焼鈍は重要です。
溶接ではTIG溶接が一般的で、適切な溶接棒とシールドガスを選定することが求められます。

まとめ

SUS304は、耐食性、加工性、溶接性、耐熱性のバランスに優れたオーステナイト系ステンレス鋼であり、その汎用性の高さから最も広く利用されています。
一方で、塩化物環境下での応力腐食割れや加工硬化といった注意点も存在します。
材料選定の際には、より高い耐食性が求められるならモリブデンを含むSUS316、コストを重視し磁性が必要ならSUS430といったように、用途や使用環境、要求される特性に応じて最適な鋼種を比較検討することが不可欠です。

製品は板、薄板、厚板といった鋼板の形態で供給され、冷間圧延ステンレス鋼板としてロール状で流通することも多く、板厚も0.1mmから5mm以上まで様々です。
設計時には、使用温度や外径といった具体的な仕様も考慮する必要があります。


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