精密加工品
6面フライス加工(6F)とは?4Fとの違い・精度を出すコツ
6面フライス加工(6f)とは、フライス盤を用いて工作物の6面すべてを削り、高い精度の直方体を作り出す加工方法です。
この6面加工は、あらゆる機械加工の基礎となり、後工程の精度を左右する重要な役割を担います。
本記事では、4面フライス加工との違いから、具体的な加工手順、精度を出すためのコツまでを分かりやすく解説します。

6面フライス加工(6F)とは?モノづくりの基準となる重要な加工法
6面フライス加工(6f)とは、直方体の工作物(ワーク)の全ての面、つまり6面をフライス盤で切削する加工方法を指します。
この6面加工の主な目的は、各面の平面度、対面の平行度、隣接面の直角度を高い精度で出すことです。
加工されたワークは、その後の穴あけや溝加工といった追加工の際の基準(基準面)として使用されるため、モノづくりの精度を保証する上で不可欠な基礎加工と位置づけられています。
4面フライス加工(4F)との主な違いをわかりやすく解説

6面フライス加工と4面フライス加工の最も大きな違いは、加工する面の数です。
6面加工が直方体の全ての面を加工するのに対し、4面フライス加工は厚みと幅の4側面のみを加工し、上下の2面(天地)は加工しません。
そのため、4面フライス加工は主に板材の幅と長さを整える目的で用いられます。
一方で、6面すべてに高い精度が求められる精密部品のベースや治具などには、6面フライス加工が必須となります。
なぜ全面加工が必要?6面フライス加工がもたらす3つのメリット

工作物の全面を加工する6面フライス加工には、後工程の精度や品質を安定させる上で重要なメリットがあります。
特に、すべての面の直角と平行を保証し、正確な寸法基準を設けることで、部品全体の信頼性を高めます。
また、材料表面の黒皮や内部の残留応力を除去することにより、加工後の変形を防ぐ効果も期待できる重要な工程です。
メリット1:高い直角度と平行度を実現できる
6面フライス加工は、最初に加工した基準面をもとに、次々と隣接する面を削り出していく手順を踏みます。
この方法により、各面が正確に90度で交わる高い直角度と、対向する面同士が完全に平行である高い平行度を持った直方体を作り出すことが可能です。
この幾何学的な正確さが、高精度な部品を生み出すための基礎となります。
メリット2:正確な寸法精度で後工程の基準になる
6面フライス加工によって作られた面体は、その後の穴あけ、ザグリ、溝加工といったすべての追加工における基準となります。
最初に正確な基準面と寸法が保証されていることで、図面指示通りの位置に正確な加工を施すことが可能になります。
もし基準面の精度が低ければ、後工程のすべての加工に誤差が波及してしまい、製品全体の品質が低下します。
メリット3:加工後の歪みや変形のリスクを低減する
鋼材などの材料には、圧延工程で生じた「黒皮」と呼ばれる酸化被膜や、内部に不均一な力(残留応力)が存在します。
6面フライス加工で表面全体を均一に除去することにより、これらの要因を取り除けます。
結果として、後工程の加工や熱処理、経年変化による面体の歪みや反りといった変形のリスクを大幅に低減させ、長期間にわたって寸法安定性を保てます。
【図解】6面フライス加工の基本的な手順と流れ

高精度な6面加工を実現するためには、正しい手順で加工を進めることが極めて重要です。
加工する順番を間違えると、各面の直角度や平行度に狂いが生じ、精度の高い直方体を作ることができません。
ここでは、基準面となる第1面から最後の第6面に至るまでの基本的な加工手順と流れを、ステップごとに解説します。
ステップ1:第1面(基準面)の加工
最初に行うのが、すべての基準となる第1面の加工です。
この手順では、工作物をマシンバイスに固定し、最も広い面を削ります。
この面が後続するすべての加工の基準となるため、平面度を高く仕上げることが重要です。
材料の反りなどを考慮し、安定した状態で固定された面の上部を切削します。
ステップ2:第2面(第1面の直角面)の加工
次に、第1面をバイスの固定口金側に当てて固定し、第1面に対して直角な側面を加工します。
この手順で重要なのは、第1面が口金に完全に密着していることを確認することです。
これにより、加工する側面と第1面の直角度が高まりますが、高精度な直角度を保証するためには、締め付けによる口金の傾きを考慮し、必要に応じてダイヤルゲージで確認するなどの対策が推奨されます。この側面もまた、後の工程の基準となります。
ステップ3:第3面(第1面の対向面)の加工
第3面は、最初に加工した第1面の反対側の面です。
この手順では、第2面を下に向け、バイスの底面に敷いた敷板(パラレルブロック)の上に置いて固定します。
敷板を使うことで、第1面と第3面の平行度を正確に出しながら、目標の寸法に仕上げます。
この工程で、面体の厚みが決まります。
ステップ4:第4面(第2面の対向面)の加工
第4面は、第2面の反対側の側面です。
第3面をバイスの固定口金側に当てて固定し、第4面を切削します。
この手順により、第2面と第4面の平行度を確保しながら、目標の幅寸法に仕上げます。
第1面から第3面までの精度が、この工程の精度に直接影響を与えます。
ステップ5:第5面(残りの直角面)の加工
第5面は、まだ加工されていない残りの2面のうちの1面です。
これまでに加工した4つの側面のうち、いずれかの基準となる側面をバイスの底面に敷板を介して設置し、上面を削ります。
この手順で、工作物の長さ方向の基準となる面が作られます。
ステップ6:第6面(第5面の対向面)の加工と仕上げ
最後の手順として、第5面の反対側にある第6面を加工します。
第5面をバイスの底に敷板を介して設置し、第6面を切削して目標の長さに仕上げます。
この加工が完了すると、6つの面すべてが互いに直角かつ平行な面体となり、6面フライス加工の全工程が完了します。
この側面を含むすべての面を測定し、精度を確認します。
高精度な6面フライス加工を実現するための重要なコツ

図面通りの高精度な6面加工を安定して行うには、基本的な手順を守るだけでなく、いくつかの重要なコツを押さえる必要があります。
特に、加工前の段取りや工作物の固定方法は、最終的な仕上がり精度に直接影響します。
ここでは、現場で実践されている代表的な3つのコツを紹介します。
コツ1:加工前にマシンバイスの基準面を入念に清掃する
マシンバイスの口金や底面は、工作物を固定する際の基準となります。
これらの面に微小な切り粉や油汚れが付着しているだけで、工作物が傾いて固定され、直角度や平行度に誤差が生じる原因となります。
加工前には必ずウエスやブラシでバイスを清掃し、基準となる面が完全に清浄な状態であることを確認します。
コツ2:ワークの浮き上がりを防ぐ正しい固定方法
バイスで工作物を締め付ける際、力が加わることで工作物がわずかに浮き上がることがあります。
この浮き上がりを防ぐため、バイスを締め付けながらプラスチックハンマーなどで工作物の上面や側面を軽く叩き、基準面に密着させることが重要です。
叩きすぎると逆に位置がずれるため、感覚を掴む必要があります。
コツ3:敷板や丸棒を活用して平行度を高める
敷板(パラレルブロック)をバイスの底に敷くことで、工作物の底面を安定させ、上面との平行度を正確に出すことができます。
また、バイスの可動口金側と工作物の間に丸棒を挟むことで、力が均等にかかり、固定口金側に工作物を確実に押し付けることが可能です。
これらの治具を適切に使うことで、面体の加工精度が向上します。
加工済み材料「6F材(6面フライスプレート)」とは?
6F材(6面フライスプレート)とは、あらかじめ6面すべてが高精度にフライス加工された規格材料のことです。
購入後すぐに機械加工に取り掛かれるため、自社で材料の切断や6面加工を行う手間を省けます。
これにより、加工時間の短縮や、基準出し作業の負荷軽減につながるため、多くの現場で利用されています。
6F材の寸法公差や平面度の一般的な精度レベル
市販されている6F材は、メーカーや材質によって異なりますが、一般的に高い精度で仕上げられています。
例えば、厚みや幅・長さの寸法公差は±0.05mm〜±0.1mm程度、平面度や平行度は0.01mm/100mm〜0.05mm/100mmの範囲に収まっている製品が多く流通しています。
これにより、追加工を行う際の基準として十分な精度が保証されます。
黒皮材からの加工と6F材購入のコスト・納期を比較
黒皮材から自社で6面加工を行う場合、材料費は安いものの、加工時間と人件費がかかります。
一方、6F材を購入する場合は材料費は高くなりますが、基準出しの工程を省略できるため、リードタイムが大幅に短縮され、加工者の負担も軽減されます。
特に多品種少量生産や短納期が求められる案件では、6F材を利用する方がトータルコストで有利になる場合があります。
6面フライス加工に関するよくある質問

ここでは、6面フライス加工について、現場のオペレーターや設計者から寄せられることの多い質問とその回答をまとめました。
Q1. 6面フライス加工で精度が出ない主な原因は何ですか?
主な原因は、段取りの不備にあります。
具体的には、マシンバイスの清掃不足による切り粉の噛み込み、ワークの浮き上がり、締め付け力の不均一などが挙げられます。
また、切削工具の摩耗や、不適切な切削条件も精度低下を招くため、基本的な6面加工の手順と原則を守ることが重要です。
Q2. フライス盤技能検定で6面加工を成功させるポイントはありますか?
技能検定では、定められた時間内に高い精度で6面加工を完了させる必要があります。
成功のポイントは、正確な測定、丁寧な段取り、そして焦らずに基本手順を遵守することです。
特に、バイスの清掃やワークの固定といった基本動作を確実に行い、各工程での寸法確認を怠らないことが合格への鍵となります。
Q3. 6F材として一般的に流通している材質には何がありますか?
6F材には様々な材質がありますが、一般的に流通しているのは普通鋼のSS400、機械構造用炭素鋼のS50C、プリハードン鋼のNAK55、アルミニウム合金のA5052などです。
これらは汎用性が高く、治具やプレート、機械部品のベース材として幅広く使用されています。
まとめ
6面フライス加工(6f)は、直方体の6面すべてを削り、平面度、平行度、直角度を高いレベルで実現する機械加工の基本です。
この6面加工によって作られた正確な基準面が、後工程の品質を保証します。
加工の手順や精度を出すコツを理解するとともに、作業効率を高める6F材の活用も検討することで、より高品質で効率的なモノづくりが可能になります。
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