六角ナット1種・2種・3種の違いとは?規格や見分け方を解説
六角ナットは、ボルトと組み合わせて部材を固定するために使われる基本的な部品です。
この六角ナットにはJIS規格で定められた1種、2種、3種といった種類があり、それぞれ形状や用途が異なります。
それぞれの特徴を正しく理解することで、設計や部品選定、実際の作業をより適切に行えます。
この記事では、六角ナットの1種、2種、3種の違いや見分け方、適切な選び方について解説します。
目次
ひと目でわかる!六角ナット1種・2種・3種の主な違い

六角ナットの1種、2種、3種の最も大きな違いは、「面取り」の有無と「高さ」にあります。
1種は片側のみに角を削る面取り加工が施されています。
2種は両側に面取りがあるため、裏表を気にせず使用可能です。
一方、3種は両側に面取りがありますが、1種・2種に比べて高さが約6割と薄い形状をしています。
この外観上の違いによって、それぞれの用途や作業性が変わってきます。
【種類別】六角ナット1種・2種・3種それぞれの特徴を解説
六角ナットの1種、2種、3種は、見た目の違いだけでなく、それぞれの特徴に基づいた使われ方をします。
最も一般的な1種、作業性に優れる2種、そして特殊な用途で活躍する3種について、それぞれの具体的な特徴とメリットを詳しく見ていきましょう。
これらの特性を把握することが、最適なナット選定の第一歩となります。
六角ナット1種:最も広く流通している片面取りナット
六角ナット1種は、片側のみに面取りが施されているナットです。
市場に最も広く流通しているタイプであり、「六角ナット」と言えば一般的にこの1種を指すことが多いです。
汎用性が高く、さまざまな締結箇所で使用されます。
製造コストが比較的安価なため、大量に使用する場面でのコストメリットが大きいです。
ただし、片面しか面取りがないため、取り付ける際には向きを確認する必要があります。
面取りがある側を外側(座面とは反対側)にするのが正しい取り付け方です。
六角ナット2種:作業性に優れた両面取りナット
六角ナット2種は、両面に面取りが施されているのが最大の特徴です。
1種と異なり裏表の区別がないため、取り付ける向きを気にする必要がありません。
これにより、作業者は向きを確認する手間が省け、組み立てラインなどでの作業効率が大幅に向上します。
特に自動機での組み付けや、狭くて向きの確認がしづらい場所での作業に適しています。
一般的に1種よりもコストは高くなる傾向にありますが、作業時間の短縮によるトータルコストの削減が期待できる場面で選ばれます。
六角ナット3種:厚みが薄く「低ナット」とも呼ばれる
六角ナット3種は、1種や2種に比べて高さが低い、薄型のナットです。
「ひくナット」や「低ナット」という別名で呼ばれることもあります。
高さが呼び径の約6割程度しかなく、単体での締結力は1種や2種に劣るため、高い軸力が求められる箇所での単独使用には向きません。
3種の主な用途は、緩み止めとして使われる「ダブルナット」の上ナットとしての使用です。
また、部品間のクリアランスが小さいなど、スペースが限られる箇所での締結にも用いられます。
ナットの1種・2種・3種を見分ける簡単チェックポイント

手元にあるナットがどの種類なのかを判別するのは、慣れていないと難しく感じるかもしれません。
しかし、いくつかのポイントを押さえるだけで、誰でも簡単に見分けることが可能です。
ここでは、ナットの1種、2種、3種を確実に見分けるための、2つの簡単なチェックポイントについて解説します。
ナットの「面取り」と「高さ」に注目することで、すぐに種類を特定できるようになります。
面取りの数で判断する(1種は片面、2種は両面)
ナットの種類を見分ける最も確実な方法は、面取りの数を確認することです。
ナットを横から見て、角が丸く削られている部分がいくつあるかを確認します。
片方の面だけに面取りがあり、もう片方の面が平らになっている場合は「1種ナット」です。
両方の面に面取りが施されていれば、それは「2種ナット」か「3種ナット」のどちらかになります。
この時点で1種かそれ以外かを明確に区別することが可能です。
多くのナットは、この面取りの数で判別できます。
ナットの高さ(厚み)で判断する(3種は薄い)
面取りの数が両面にある場合、次に確認すべきはナットの高さ(厚み)です。
1種と2種の高さは同じですが、3種は明らかに薄く作られています。
手に取って見比べれば、その厚みの違いは一目瞭然です。
もしナットが両面取りで、他のナットと比べて明らかに薄い場合は「3種ナット」と判断できます。
したがって、「両面取りで高さが標準的なものは2種」「両面取りで高さが薄いものは3種」というように、高さに注目することで2種と3種を簡単に見分けることが可能です。
【用途別】六角ナット1種と2種の適切な選び方
ナットを選定する際には、それぞれの種類が持つ特性を理解し、用途に合わせて最適なものを選ぶことが重要です。
特に、広く使われる1種と2種については、コストと作業性のどちらを重視するかで選択が変わります。
また、緩み止めという特定の目的がある場合には3種が選択肢となります。
ここでは、具体的な使用シーンを想定し、それぞれの用途に最適なナットの選び方を解説します。
コストを重視するなら一般的な1種がおすすめ
部品コストを可能な限り抑えたい場合には、1種の六角ナットが最も適しています。
1種は市場での流通量が最も多く、幅広いサイズが安価で入手可能です。
特に、大量のナットを使用する製品の製造や、大規模な建設プロジェクトなどでは、ナット一つあたりの単価の違いが全体のコストに大きく影響します。
取り付け時の向きを確認する手間はかかりますが、それを許容できる作業環境であれば、コストパフォーマンスに優れた1種ナットを選ぶのが合理的な判断となります。
作業効率を優先するなら向きのない2種が最適
作業スピードや効率を最優先する現場では、2種の六角ナットが最適です。
2種は両面取りのため、ナットの向きを気にすることなく、スピーディーに締結作業を進められます。
これにより、作業者の負担が軽減されるだけでなく、組み立てライン全体の生産性向上にもつながります。
また、ナットの向きを誤って取り付けるというヒューマンエラーを防ぐ効果もあります。
初期コストは1種よりも高くなりますが、人件費や作業時間の短縮を考慮すると、トータルではコスト削減になるケースも少なくありません。
ダブルナットとして緩み止めに使うなら3種を選ぶ
振動や衝撃が多い箇所でボルトやナットの緩みを防ぎたい場合には、ダブルナットという方法が有効です。
ダブルナットとは、まず下ナットを規定トルクで締め付けた後、その上から上ナットを締め付けてロックする方法です。
下ナットと上ナットの間で強力な張力が発生し、互いを固定し合うことで、非常に高い緩み止め効果を発揮します。
ただし、ダブルナットの正しい施工方法として、軸荷重を受け止める下ナットには厚みのある1種または2種ナットを使用し、その上からロックする上ナットにも1種または2種ナットを使用することが推奨されます。
薄い3種ナットを上ナットとして使用すると、軸力に負けてしまい、十分な緩み止め効果が得られない可能性があります。
また、ロッキング力を上げすぎると軸力が低下し、初期締結力が損なわれる可能性もあるため、適切な施工が重要です。
JIS規格で定められた六角ナットの寸法と種類
六角ナットの形状や寸法は、JIS B 1181という規格によって詳細に定められています。
この規格があることで、メーカーが異なっても互換性のあるナットが供給されています。
規格では、ナットの高さや二面幅(スパナをかける部分の幅)などが、ねじの呼び径に応じて細かく規定されています。
例えば、M34のような大きなサイズのナットでも、規格に基づいた正確な寸法で製造されます。
このJIS規格を理解することは、正確な部品選定や設計において不可欠です。
ナットの高さは呼び径の約8割が基準(1種・2種)
JIS規格において、1種および2種の六角ナットの高さは、ねじの呼び径(d)の約8割(0.8d)と規定されています。
例えば、呼び径がM10のナットであれば、その高さは約8mmが基準となります。
この基準により、ナットは締結に必要なねじ山の数(有効ねじ深さ)を確保し、十分な締結力を発揮できます。
3種ナット(低ナット)の高さは呼び径の約6割(0.6d)と薄くなっており、この高さの違いがそれぞれの用途を決定づける重要な要素となっています。
Sが付くナットは通常より二面幅が小さい
六角ナットの規格寸法には、呼び径の後に「S」が付記されるものがあります。
これは「小形六角ナット」を意味し、通常の六角ナットに比べて二面幅(スパナサイズ)が一段階小さく設計されているのが特徴です。
例えば、通常のM10ナットの二面幅が17mmであるのに対し、小形M10ナット(M10S)は14mmとなります。
これにより、ナットを取り付ける周辺のスペースが限られている場合や、製品全体の軽量化・コンパクト化が求められる場合などに有利です。
六角ナットの種類に関するよくある質問
六角ナットの選定や使用に際しては、さまざまな疑問が生じることがあります。
ここでは、1種の取り付け方向の決まりや、種類による強度の違い、さらにはJIS規格の「本体」と「附属書」の違いといった、特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
これらの知識は、より安全で確実な作業を行うために役立ちます。
六角ナット1種の取り付ける向きに決まりはありますか?
はい、決まりがあります。
1種ナットは、面取りされている側を必ず外側(座面とは反対側)に向けて取り付けます。
これは、ナットの角が相手材に食い込んで傷つけるのを防ぐためです。
また、面取り側を外にすることで、スパナやレンチといった工具がかけやすくなるという利点もあります。
正しい向きで取り付けることで、確実な締結と部材の保護につながります。
1種、2種、3種で強度に違いはありますか?
同じ材質・同じ強度区分であれば、1種と2種の強度に実質的な違いはありません。
一方、3種は高さが低いため、ねじ山のかかり数が少なくなり、単体での保証荷重は1種・2種に比べて低くなります。
そのため、3種は大きな締結力が求められる箇所で単独使用されることは少なく、主にダブルナットなどの補助的な役割で用いられます。
JIS規格の「本体」と「附属書」では何が違うのですか?
JIS規格における「本体」は、現在有効な国際規格(ISO)に整合させた最新の規格を指します。
一方、「附属書」は、ISO規格とは異なるものの、国内で長年広く使用されてきた旧JIS規格の寸法を示したものです。
新規で設計を行う場合は、国際的な互換性の観点から「本体」規格の部品を選定することが推奨されます。
まとめ
六角ナットには1種、2種、3種の3つの主要な種類があり、それぞれに明確な特徴と用途があります。
1種は片面取りで最も一般的かつ安価です。
2種は両面取りで裏表がなく、作業性に優れています。
3種は高さが低い薄型のナットで、主にダブルナットとして緩み止めに使用されます。
これらの見分け方は、面取りの数とナットの高さで簡単に行えます。
コスト、作業効率、特定の機能といった目的に応じて、適切な種類のナットを選定することが重要です。
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