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RoHS指令とは?規制対象の10物質や最新情報をわかりやすく解説

RoHS指令とは、EU(欧州連合)が定める、電気・電子機器における特定有害物質の使用を制限する規制です。
企業がEU市場で製品を販売するためには、この指令への対応が不可欠となります。
本記事では、RoHS指令の基本的な意味から、規制対象となる最新の10物質、具体的な実務対応までをわかりやすく解説します。

RoHS指令の基本概要|目的や改正の経緯

RoHS指令は、人の健康や環境を保護することを目的に、欧州委員会によって制定されたEUの法令です。
2006年に最初の指令(RoHS1)が施行され、その後、対象製品の拡大や規制物質の追加といった改正が行われ、現在はRoHS2と呼ばれる改正指令が適用されています。
この法律は、製品の設計・製造段階から有害物質を排除することで、廃棄時の環境負荷を低減させることを目指しています。

RoHS指令とは?環境保護と健康被害防止を目的としたEUの規制

RoHS指令の正式名称は「Restriction of the Use of certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment」であり、「RoHS」はその略です。
この規制は、電気・電子機器の廃棄物(WEEE)が埋め立てや焼却処分される際に、製品に含まれる有害物質が環境へ流出し、土壌や水を汚染したり、人の健康に悪影響を及ぼしたりすることを防ぐ目的で制定されました。

RoHS1からRoHS2へ|改正で変更された点をわかりやすく解説

2011年に改正されたRoHS2(指令2011/65/EU)では、RoHS1からいくつかの重要な変更が行われました。
最大の変更点は、CEマーキング制度の対象となったことです。
これにより、製造者は製品がRoHS指令に適合していることを自己宣言し、CEマークを貼付することが義務付けられました。

また、当初6物質だった規制対象に、フタル酸エステル類の4物質が追加され、合計10物質となりました。
さらに、対象となる製品カテゴリーも拡大されています。

RoHS指令で規制される対象とは?

RoHS指令の規制対象は、「有害物質」と「製品カテゴリー」の2つの側面から定義されます。
指令で定められた規制物質が、指定の最大許容濃度を超えて含まれている場合、その対象製品をEU市場で販売することはできません。
したがって、製造メーカーは自社製品がどのカテゴリーに属し、使用している部品や材料に規制対象物質が含まれていないかを正確に把握する必要があります。

【一覧表】RoHS2で規制対象となった10物質と最大許容濃度

RoHS2で規制対象となっている10物質と、製品の均質材料中に含まれる最大許容濃度(閾値)は以下の通りです。
カドミウムのみ許容濃度が低く設定されている点に注意が必要です。
鉛(Pb):0.1wt%
水銀(Hg):0.1wt%

カドミウム(Cd):0.01wt%
六価クロム(Cr6+):0.1wt%
ポリ臭化ビフェニル(PBB):0.1wt%
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE):0.1wt%

フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP):0.1wt%
フタル酸ブチルベンジル(BBP):0.1wt%
フタル酸ジ-n-ブチル(DBP):0.1wt%
フタル酸ジイソブチル(DIBP):0.1wt%

規制対象となる11の製品カテゴリーとそれぞれの具体例

RoHS指令の規制は、以下の11の製品カテゴリーに分類される電気・電子機器に適用されます。
1.大型家庭用電気製品(冷蔵庫、洗濯機など)
2.小型家庭用電気製品(掃除機、ドライヤー、時計など)
3.IT・電気通信機器(パソコン、スマートフォン、ネットワーク機器など)
4.民生用機器(テレビ、カメラ、オーディオ機器など)

5.照明機器(蛍光灯ランプ、LEDランプなど)
6.電気・電子工具(ドリル、電動のこぎりなど)
7.玩具・レジャー・スポーツ用品(ビデオゲーム機、電気鉄道模型など)
8.医療機器

9.監視・制御機器
10.自動販売機
11.上記カテゴリーに含まれないその他の電気・電子機器
ネジやアルミ、塗料、メッキなどの部品や材料そのものは対象外ですが、これらが最終製品に組み込まれた際に規制が適用されます。

例えば、六価クロムを含むクロメート処理を施したネジは使用できません。

企業がRoHS指令に対応するために必要な実務

メーカーなどの企業がRoHS指令に対応するためには、製品開発の初期段階からサプライチェーン全体での管理体制を構築することが要求事項となります。
具体的には、部品や材料の調達段階で含有物質の調査を行い、必要に応じて測定・分析を実施します。
この対応を怠り、規制に違反した製品をEUへ輸出した場合、販売停止やリコール、罰金などの厳しい措置が科される可能性があります。

自社製品をRoHS指令に適合させるための具体的な手順

自社製品をRoHS指令に適合させるには、まず製品が11のカテゴリーのいずれに該当するかを確認します。
次に、製品を構成する全部品・材料について、サプライヤーから含有化学物質情報の提供を受けます。
情報が不十分な場合は、蛍光X線分析などの手法で含有の有無をスクリーニングし、必要であれば精密分析で濃度を確定させます。

鉛フリーはんだへの切り替えなど、規制物質を含まない代替部品への変更も重要な手順です。

CEマーキングの自己宣言と技術文書の作成について

RoHS2指令への適合を示すためには、製品にCEマークを貼付する必要があります。
CEマーキングは、製品がEUの安全基準を満たしていることを製造者自らが宣言する制度です。
この宣言の根拠として、製造者は「技術文書」を作成し、保管する義務があります。

技術文書には、製品の仕様書、部品リスト、サプライヤーからの証明書、分析結果の報告書などが含まれ、当局から提出を求められた際に提示できなければなりません。

技術的に代替が難しい場合に適用される「適用除外」の条件

RoHS指令では、特定の用途において技術的に有害物質の代替が困難な場合、期限付きで使用を認める「適用除外(Exemption)」という規定が設けられています。
この規定は、指令の附属書III(全製品カテゴリー共通)および附属書IV(医療機器、監視・制御機器限定)にリスト化されています。
例えば、「高温溶融はんだ中の鉛(附属書III7(a))」などが該当します。

適用除外は定期的に見直され、更新または失効するため、常に最新の情報を確認する必要があります。

RoHS指令への適合を証明する具体的な方法

RoHS指令への適合を証明するためには、客観的な証拠が必要です。
その方法として、製品や部品を実際に分析する「分析」と、サプライヤーから含有物質に関する情報を書類で入手する「書類管理」の2つが挙げられます。
多くの企業では、これらを組み合わせて管理しています。

例えば、サプライヤーから適合証明書を入手しつつ、リスクの高い部品については自社や認証機関でサンプル分析を行うといった対応が一般的です。

スクリーニング分析(蛍光X線)と精密分析の違いと使い分け

RoHS指令への適合性を確認する分析には、主に2種類の方法があります。
一つは「スクリーニング分析」で、代表的な手法に蛍光X線(XRF)分析があります。
これは非破壊で迅速に検査でき、部品に規制物質が含まれているかどうかの当たりをつけるのに適しています。

スクリーニングで閾値に近い値が検出された場合や、より正確な濃度を知る必要がある場合には、「精密分析」が行われます。
これは部品を酸で溶解させて測定する破壊検査であり、正確な含有量を特定できます。

RoHS分析を依頼する外部機関の選び方と費用の目安

RoHS分析を外部の会社に依頼する場合、その機関が信頼できるかどうかを見極めることが重要です。
一つの指標として、分析機関の能力を証明する国際規格「ISO/IEC17025」の認定を取得しているかどうかが挙げられます。
費用や納期は、分析対象の材質や部品点数、分析方法(スクリーニングか精密分析か)によって大きく変動するため、複数の機関から見積もりを取り、サービス内容を比較検討することが推奨されます。

サプライチェーン全体で管理するための不含有証明書(chemSHERPAなど)

製品を構成する多数の部品や材料について、RoHS指令への適合を効率的に管理するには、サプライチェーン全体での情報伝達が不可欠です。
そのために、部品や材料のサプライヤーから、規制物質の不含有を保証する証明書や、含有化学物質情報の提出を求めます。
近年では、経済産業省が推奨する化学物質情報伝達のための共通スキーム「chemSHERPA(ケムシェルパ)」の利用が広がっており、これによりサプライヤーは統一されたフォーマットで適合宣言書を作成・提出できます。

混同しやすい関連規制との違いを整理

EUにはRoHS指令以外にも、化学物質に関する様々な規制や規則が存在します。
特に、REACH規則やWEEE指令はRoHS指令と関連が深く、混同されやすいですが、それぞれ目的や対象が異なります。

これらの違いを正しく理解し、それぞれに適切な対応をとることが重要です。

REACH規則とRoHS指令の目的・対象物質の違い

REACH規則とは、EUで製造・輸入されるほぼ全ての化学物質を対象に、登録・評価・認可・制限を義務付ける包括的な規制です。
RoHS指令が電気・電子機器に含まれる特定の10物質の使用制限を目的とするのに対し、REACH規則は化学物質そのものの管理を目的としています。
対象物質もRoHS指令の10物質に限定されず、高懸念物質など数千に及ぶ点が大きな違いです。
管理は欧州化学物質庁が行います。

WEEE指令とRoHS指令の連携とそれぞれの役割

WEEE指令は、電気・電子機器の廃棄物に関する規制で、生産者に対して製品の回収やリサイクルを義務付けるものです。
一方、RoHS指令は、製品の設計・製造段階で有害物質の使用を制限します。
この2つの指令は密接に連携しており、RoHS指令によって製品中の有害物質が削減されることで、WEEE指令が定めるリサイクルプロセスにおける作業者の安全確保や、環境汚染の防止につながるという役割分担になっています。

RoHS指令に関するよくある質問

ここでは、RoHS指令に関して実務担当者から寄せられることの多い質問とその回答を紹介します。
規制対象となる物質の種類や、自社製品が対象となるかどうかの判断基準など、基本的な疑問点を解消します。

RoHS指令で規制されている10物質とは具体的に何ですか?

鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB、PBDE、DEHP、BBP、DBP、DIBPの10物質です。
これらの物質は、人の健康や環境に有害です。
最大許容濃度は、カドミウムが0.01wt%、他の9物質は0.1wt%です。

自社の製品がRoHS指令の対象かどうかを確認する方法はありますか?

製品が指令で定められた11の製品カテゴリーに該当し、かつ定格電圧がAC1000V、DC1500V以下の電気・電子機器であるかを確認します。
EU市場に輸出・販売する製品が対象であり、日本国内のみで販売される製品はRoHS指令の直接の規制対象にはなりません。

RoHS指令の適合を証明するには、どのような書類が必要になりますか?

EU向けの適合宣言書(DoC)と、その根拠となる技術文書(TD)の作成・保管が必要です。
技術文書には、製品の設計資料、含有化学物質の分析データ、サプライヤーから入手した不含有証明書(適合証明書)やchemSHERPAなどの宣言書が含まれます。

まとめ

RoHS指令は、欧州でビジネスを行う上で遵守しなければならない重要な環境規制です。
製品に含まれる有害化学物質を厳しく制限しており、違反した場合は厳しい罰則が科されます。

近年では、中国版RoHSや韓国の規制など、世界各国で同様の規制が導入される動きが広がっています。
グローバル市場で事業を展開する日本のメーカーにとって、こうした環境規制への対応は、企業の社会的責任を果たす上でも必須の取り組みとなっています。

 

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